ブログ「言葉美術館」

■継続を望む 「海からの贈物」 リンドバーグ夫人■

2016/05/22

61mhlhxjakl__sl500_「どの女も、男も、

もって生まれた迷いから、

適えられないことに心を焦がし、

普遍的な愛だけではなくて、

自分だけが愛されることを望む。

(W.H.オーデン)

私のバイブル本のひとつ、「海からの贈物」

リンドバーグ夫人はこの句について、これは罪なことなのか? と疑問を持ち、インド人の哲学者と話をする。

彼は言う。

自分だけが愛されることを望むのは構わないが、「いつまでも自分だけが愛されることを望んではならないのです」と

リンドバーグ夫人は頷いて言う。

「我々は『二つとないもの』、――二つとない恋愛や、相手や、母親や、安定に執着するのみならず、その『二つとないもの』が恒久的で、いつもそこにあることを望むのである。

つまり、自分だけが愛されることの継続を望むことが、私には人間の『持って生まれた迷い』に思える」

そして続けて、「二つとないものなどはなくて、二つとない瞬間があるだけ」と言う。

最近、強く感じていることと関係が深くて胸に響いた。

当たり前のようでいて当たり前でなく、そして、忘れがちなこと。

二つとないもの。二つとないモノ。二つとない物。

これは「かたち」。

「かたち」が、このところ私はとても嫌い。

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