■継続を望む 「海からの贈物」 リンドバーグ夫人■
2016/05/22
「どの女も、男も、
もって生まれた迷いから、
適えられないことに心を焦がし、
普遍的な愛だけではなくて、
自分だけが愛されることを望む。
(W.H.オーデン)
私のバイブル本のひとつ、「海からの贈物」
リンドバーグ夫人はこの句について、これは罪なことなのか? と疑問を持ち、インド人の哲学者と話をする。
彼は言う。
自分だけが愛されることを望むのは構わないが、「いつまでも自分だけが愛されることを望んではならないのです」と。
リンドバーグ夫人は頷いて言う。
「我々は『二つとないもの』、――二つとない恋愛や、相手や、母親や、安定に執着するのみならず、その『二つとないもの』が恒久的で、いつもそこにあることを望むのである。
つまり、自分だけが愛されることの継続を望むことが、私には人間の『持って生まれた迷い』に思える」
そして続けて、「二つとないものなどはなくて、二つとない瞬間があるだけ」と言う。
最近、強く感じていることと関係が深くて胸に響いた。
当たり前のようでいて当たり前でなく、そして、忘れがちなこと。
二つとないもの。二つとないモノ。二つとない物。
これは「かたち」。
「かたち」が、このところ私はとても嫌い。