■恋は過去を作る 「アドルフ」 コンスタン■
2016/05/19
「恋以外の他のすべての愛情は、過去を必要とする。だが恋は、あたかも妖術のように、一つの過去を創造し、その過去でわれわれを包む。
……恋は一つの光点にすぎない。にも拘わらず、それは永劫にわたっているように思われる。つい数日前まではそれは存在していなかった。そしてまた間もなく消えてしまうであろう。
だがそれが存在する限りは、その光を、あとに続く時の上に投げかけると同様、過ぎ去った時の上にも投げかけるのである」
恋のはじまりから終わりまでが、じつに甘美に、そして、あまりにも残酷に、描かれた物語。
未来だけではなく、過去をも創造してしまうのが恋。と、コンスタンは言う。
やはり、恋というものは、どうにもおかしな、でも強烈でクレイジーなモノなのだ。
今回、私は「恋のエナジー、過去をも創る」といった部分に大きく頷いた。
そうか、だから恋をすると、会ったばかりなのに「いままでもずっとこの人と一緒に、こうしていたみたい」という感覚になるのだな、と。