ブログ「言葉美術館」

■運命は窓から 「灼熱」 シャーンドル・マーライ■ 2009.6.19

2016/05/18

51v3xhaknel「人間もまた、我が身に起こる出来事を自分の手で作りだしているのだ。

作り出し、呼び寄せ、起こるべきことをつかまえる。

人間とはそういうものだ。

たとえ最初の瞬間に、自分の行為が致命的だと悟ってもやめられない。

(略)

運命というのは、我々の人生にこっそり忍び込んでくるのではない。

我々が開け放った扉を通って入ってくるのだ

主人公の、一人語りが、えんえんと続く物語。

男の友情という、現代ではあまり見かけなくなったものをテーマにした物語。


その、くどい語りや、理屈っぽさ、自己陶酔ありの比喩の引用に、(わたしみたいにいやなひとだ、)と苦笑いしつつ、それでも自分と似ているところが多分にあるから、途中でやめられなくて、結局、引き込まれて、休憩なしで読みきってしまった。

久しぶりに、出逢った感あり。


ラインを引き、ノートにうつしたい文章がたくさんある、そういう小説だった。「生きるということは、耐えることなのだ」という著者の声が強く胸に響くような、そういう小説だった。


このところ、微熱モードが続いている。

うみだしたい、という欲求があるのが感じられる。逃げないように、慎重につかまえておきたい気分の、朝。

-ブログ「言葉美術館」