■スワーンベリの世界 「女の楽園」 澁澤龍彦■
2016/07/01
「エロティシズムを、人間性の局限された一部分だとしか考えられない者、不当に蔑視し隠蔽して、これを道徳その他の人間精神の働きの下位に立たせようとする者には、ついにスワーンベリの魅惑の世界に参入することは不可能であろう」
このところすっかり溺れている、スワーンベリの画集のなかから。
久しぶりに澁澤龍彦に酔った。
そして、やはり自分が信じるものは、周囲からどんな視線を浴びせられようとも、信じ、そして断言し、伝え続けなければならないのだと、あらためて気づかされた。
それにしてもスワーンベリの絵画世界は、懐かしいほどに泣けてくるほどにエロティックで、そして愛に満ち満ちている。
そのような「魅惑の世界に参入」できない人生なら、私はいらない。
私はスワーンベリの楽園でいつでも憩い、戯れる精神を持ち続けたい。
それがどんなに世のなかの流れに合っていなくても。
楽園に集う人々がひとり、またひとりと減っていって、ついには自分ひとりだけになったとしても、私はそこにゆくだろう。
ゆけるひとでありたい。
今日はずっと家で、そんなことに思いを馳せながら過ごした。原稿をチェックしながら、創作途中の物語に手を入れながら、スワーンベリの絵画がやけに目のまえにちらつく一日。