ブログ「言葉美術館」

■■スミセベストブックとシャネルと五木寛之■■

2016/07/01

 093_sumisei_profile_2「スミセイベストブック」20101月号に、『ココ・シャネルという生き方』が内容紹介と著者インタビュー、3ページにわたって掲載された。

取材はずいぶん前だったから、すでに懐かしいくらいの思いで、届いた雑誌を開いた。プロフィール写真がちょっとかたいかな。

色々な本が紹介されていて興味深い。

ふだん私は週刊誌も新聞もテレビもナシの生活をしているから、新鮮なのだ。

もっとも興味深い、というかほとんど胸打たれたのが五木寛之の『人間の運命』についての記事。

ご本人の写真も掲載されていて、食い入るように見てしまった。

とても、とてもよいお顔をなさっていたから。

1932年生まれ。このような顔の77歳なら、私もそこまで生きてみたい、と思わせるほどに、とにかくとてもよいのだった。

もうちょっと表現のしようはないのか、と自分でも思うけれど言葉が見つからない。

内容紹介に惹かれてもちろん『人間の運命』は読むことに決めた。

記事で胸をつかれた箇所を。

「五木氏は、十代半ばの少年のころから、バランスを欠いた自分の心に不安と恐れを感じ続けてきた、と述懐する。

いまも眠りはなかなか訪れず、午前六時ごろに睡眠導入剤を飲んでベッドに入る。だからと言って、いま切実に求めているのは、不安の解消や熟睡などではない。

それでも押し潰されずに、毎日を生きていくことのできるエネルギーがほしいのである。

それは生き甲斐というのとは少し違う。

 単純にいえば、自分の心の奥の、なんともいえない暗い闇を照らしてくれる光がほしいと思うのだ。」

  苦しみながらも人生について生きるということについて人間について、深く重い洞察を続ける作家と同じ情報誌に自分がいる、ということについて、私はふるえた。

自分を恥じるとか、シニカルな目線ではなく、本を書くということの重さがずしんと響いたからだ。

このところのふらふら浮遊ぎみの精神にとって、それはかなり強い衝撃だった。

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