■■強烈に不在している■■
2016/06/11
ちゃんと聴いていなかったから、誰が言った言葉なのかわからない。
ラジオから流れ出る音に「ピナ・バウシュ」を聴いて、注意を傾けた。
ピナが亡くなって3年。
「あなたにとってピナはどんな存在ですか?」
みたいな質問に、その人は答えた。
「強烈に不在しています」と。
その言葉を耳にしたとき、胸を強く突かれて動揺した。
愛とはその人の不在を強く感じること。
と言ったのはサガンだけれど、私もまったく同じように感じている。
一緒にいるときに、「ああ、好きだなあ」って思える陽的な愛の実感もいいものだけど、その人がいないときに「なぜ、ここにいないの」と唇をかみしめたくなるほどに強く不在を実感するのも悪くない。
自分がその人のことをこんなに好きなんだ、と愕然とするくらいの驚きが、いい。
美しいものを観たときふれたときに、「なぜ、ここにいないの」はくる。
美は愛に近い。
だけど私は自分がこの世からなくなったら、誰にとっても「強烈に不在している」ひとではありたくない。