■■喪失はすべてを■■
2016/06/10
喪失はすべてをシャープにする。
ってメイ・サートンが言っていたけどほんとだな。
どんな本開いても、どんな音楽聴いても、どんなひとたちに会っても、胸に響く、するどく、響く。
資料として読んでいたロマン・ロランの『ミケランジェロの生涯』。
ロマン・ロランが訳者の高田博厚にあてた手紙のなかの一文。
「社会と自我との矛盾に引き裂かれれば引き裂かれるほど、己が芸術に熱情を打ちこむ。ミケランジェロがそれの最も悲劇的な最も偉大な例だった」
そうです。ミケランジェロのことを言っているのに、ずうずうしい私は自分にすぐに置き換えるのです。
こんなに書くことに没頭している。引き裂かれている痛みを感じないように、引き裂かれていること自体を認めないように、己が芸術……とまでは言えないけど、書くことに埋没している土曜の夜。
ああ、軽井沢が恋しい。
写真はミケランジェロの「ロンダニーニのピエタ」。最後のピエタ、未完の。ミラノのスフォルッツァ城にある。
いますぐに観に行きたい。そうして、以前そうだったように、くずれおちるような慈愛を感じたい。