ブログ「言葉美術館」

■■夜のパリ■■

2016/06/10

20130429「夜のパリ」

 

三本のマッチ

一本ずつ擦る 

夜のなかで

はじめのは

きみの顔を隈なく見るため

つぎのは

きみの目をみるため

最後のは 

きみのくちびるを見るため

残りのくらやみは

今のすべてを想い出すため

きみを抱きしめながら

飢えてプレヴェール。

好きな世界にはいりこむ。

たぶん、そのまなざしがすごく好きなのだと思う。視線の動きというか、瞳の温度みたいなのが。

その空間に積極的な音はない。BGMもいらない。吐息だとか、シーツのこすれる音だとか、咳払いだとか、外の車とかエアコンの音だとか、遠くに聞こえるサイレン。そういうのがいい。

状況を設定できるなら、大雨の降る昼下がり。天気の良い日が続く休日の夕刻。ほかのことを何も考えずに、ただ、それだけでいい。そんなふうに思える瞬間。

きっと。こんなことを夢見続けていくのだろうな。

プレヴェールの夜のパリ。

久しぶりにパリに出かけたのは、サガンをほぼ書きあげた直後の、ちょうど今頃だった。もう三年前。

いまは、外国にそれほど惹かれない。ローマでカラヴァッジョの絵は観たいけれど。

だからといって国内ですごく行きたいというところもない。

いまの一番のよろこびは、週に一本のペースで仕上げる約束をしている物語ができたとき。 できた! と思った次の瞬間から次の物語を作りはじめるのだけど、らくなことじゃないんだけど、それができたときがこんなにうれしいんだからやらないと。

自分に言い聞かせ、これを書き終えたら原稿に戻る。

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