ブログ「言葉美術館」

■■精神的に気にしてはいけないこと■■

2016/06/09

Img_20130812_144404サマセット・モームの「サミング・アップ」を再読。

成功した作家の回想録。

成功していようがいまいが、ものを書いて発表するということでは同じことをしているわけで、興味深い箇所がたくさんあった。

 

モーム曰く、自分の作品に対してつねに、この作品ぜんぜんよくないのかもしれない、という懸念がつねにあるから、読者さんから称賛されると、とってもとっても元気になる。

だから「称賛は作家には大切なもの」なので、称賛を求めるのはこれ、仕方がない。

けれど本来は。

作家は作品を自分自身との関係で考えるべきであり、読者がどう反応するかに関心をもつのは経済的な理由でやむを得ないだろうが、精神的には気にすることはない。作家は自分の魂の解放のために創作するものである

そう。

精神的に気にしてはいけないのだ。


これは作家に限らず、自分自身信ずるものを胸にいだいている人すべてに対して言えることだと思う。

自分のしていること、発信したことに対して、社会的動物として気にしなければいけない場合もあるけれど、根本的なところで、そう、精神的に、気にすることはない、というより気にしてはいけない。禁止。そんな気がする。

 

『特に深刻な事情が……』をお読みになった方のレビューのひとつに、書評で知って遠くの書店まで買いに出かけ、読んで、もう少し生きてみようと思った、というのがあり、私はパソコンのまえで涙が止まらなかった。

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