◎歓びを歌にのせて◎
2016/10/20
DVDで観賞。
予備知識ゼロで、だから期待もせずに観たけれど、心に響く映画だった、ようだ。
ようだ……、なんていやらしい表現をしてしまうのは、観終わってすぐは、「うん、よい映画でした」でおしまいだと思っていたのに、ここ数日、ふとしたひょうしに、主人公と恋人役の女性の会話が頭に浮かんで、それから、いくつかの情景につながる、そういうことがあるから、そうか、静かに心に響いていたのか、とひとごとのように感じている、というわけなのだ。
じわじわときいてるみたい。
いくつかの情景につながるきっかけとなる会話というのが、メモしなかったから正確ではないけれど、次のような感じ。
「(そのひとのことが)好きだと、どうしてわかるの?」
という女性の問いに、主人公の男が答える。
「一緒にいるととても幸福だ」
そう。なんてことのないやりとりなのだが、この種のやりとりが何回か出てくるので、私はそのたびに考えていた。
ほんとうに、どうしてそのひとのことが好きだとわかるのだろうか。
「どうしてそのひとのことが好きだとわかるのですか?」と聞かれたら私は何と答えるだろうか。
そして主人公の答えに、いくにんかのひとを思い浮かべて、
一緒にいて幸福だっただろうか(過去バージョン)。
一緒にいて幸福だろうか(現在バージョン)。
なんてことを考えた。
ストライクゾーンが広いのだろうか。
「幸福」というくくりでみると、わりとみんなクリアしているように思う。
そんなことをここ数日考えて、今朝、アイラインを引きながらふと思い浮かんだのは、「不在」という言葉で、そうだった、私の場合、恋愛感情の「好き」は、サガンの言葉の借用だけれど、「そのひとの不在を強く感じること」なのでした。