◾︎「ジョーン・ディディオン」、決定的なカップル
アメリカを代表する作家ジョーン・ディディオンのドキュメンタリー。このひとのことを私は知らなかった。
彼女は同じく作家である夫ジョン・ダンとずーっと一緒に執筆活動をしてきた。私が憧れ、信じたいと願う、決定的なカップルの姿がそこにあった。
1934年生まれ、現在84歳。
2003年12月、一人娘が急病で生死をさまよっている最中、夫が心臓発作で急死。その一人娘も翌年に亡くなる。
そしてジョーンは本を書いた。
「悲しみにある者」。
これは夫を亡くしたあとの1年間を描くノンフィクション。夫の死後およそ9ヶ月後、言葉を綴り始める。
「命の変化は瞬間だ。普段と変わらない瞬間」
このドキュメンタリーを観たのは数週間前で、本をすぐに購入したけど、自分の状態がよいときじゃないと読めないのでまだ途中。
夫婦がどれほど近い存在だったのか、そしてそんな存在を突然失うことがどんなことなのか。
そしてふたりとも、いかに「書く」ことに人生をかけていたのか、かけているのか。
胸に迫る。
そう、胸に迫り、そして胸がちくりと痛む。この痛みは何かと問う。書くことに人生をかけていると言えるのか私、という問いに、どうどうと肯定の言葉をはけないからか。
いいえ、書くということは、紙の本を出版することではない。言葉を綴ることだ。自分のなかにあるものを文章という手段によって表現することだ。私自身をそこに見つけるために、することだ。
書きたいことを書いているときは、時間は存在しない。そして、ずっしりとした、たしかな感覚を得る。書かないではいられないという感覚。今年は「私のブエノスアイレス」がそれだったかな。
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