■映画の至福と「永遠に変わらないためには…」
いま、文化村ル・シネマが私のなかでとっても熱い。
今年に入って、まず「冬時間のパリ」を観た。大好きな女優ジュリエット・ビノシュ目当てで。
これは「よいこの映画時間」でりきちゃんが近々アップしてくれると思うから詳しくはそちらを読んで欲しいのだけど、電子書籍ブームのなかで揺れる出版業界が舞台になっていて、婚外恋愛、さらに私小説までがテーマとなっているのだから面白くないわけがない。ヴィスコンティの「山猫」のなかのセリフ、「永遠に変わらないためには、変わり続けなければならない」。映画のなかで象徴的に使われていた。これが残った。
次に観たのが「パリの恋人たち」。これはルイ・ガレル目当て。恋をしているときには、ひとつひとつの場面、セリフが身につまされる。恋心は永遠ではないけれど、関係性は永遠、そういう組み合わせというのがある。そんなことをあらためて思った。
次に観たのが「私の知らないわたしの素顔」。これもジュリエット・ビノシュ。これがすばらしかった。ビノシュ演じるヒロインは五十代の美しき大学教授。公開中だから詳しくは書かないけれど、夫が若い女性を好きになり離婚。その後若い恋人とつきあうけれど、軽く扱われあっさり捨てられる。そして踏み入れたSNSの世界。そこで彼女は若い女性になりすまして、バーチャルの恋愛で輝きをとりもどしてゆく。だけど……。
フランスなのに、どうしてここまで若さに執着するのか、という疑問は最後に明かされる。心理サスペンス。
私と同世代のヒロインということで、いちいち刺さる。もう若くはないという事実が、ささいなことで自分の眼前に突き出されるということ。
そして一月末に、1966年(私が生まれた年)に公開された名作「男と女」の続編が公開される。53年という月日が流れて、主人公のふたりも監督も同じ、という奇跡。
私はヒロインを演じたアヌーク・エーメという女優の大ファンだから、これは見逃せない、ということで、1966年公開の「男と女」と観直した。ほとんど忘れていたから新鮮。アヌーク・エーメの美しさに、もう、ひたすら見惚れる。
3週間の物語。3週間。これをこんなふうに描けるのだ、ということ。いま書いている作品において、大きな啓示を受けたように思った。
私は映画が好きなんだなあ。
年が明けて、いつもなら、不調のはずなのに、今年はそうでもない。娘の強烈な勧めで「脱ひきこもり」を実行中。なるべく出かけてカフェで仕事をするようにしている。出かけることが大事、と彼女が言うので。そして私もひきこもりに飽きてきたのでそうしている。
カフェで仕事をしているといろんな風景が見える。ひとりひとりのひとの人生に想いを馳せてしまう。それもまた私のライフワーク。
今年出版したい本の企画があふれ出てくる。どこまで実現できるかわからないけれど、いまは書きたい、という欲望があるから、そのことがなにより嬉しい。