ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

◎57本目『ポルトガル、夏の終わり』


【あらすじ】

女優のフランキー(イザベル・ユペール)は、病に侵され、余命わずか。
死期が近いと感じている彼女は、ポルトガルのシントラに家族や親しい友人を呼び寄せ、自分が死んだ後のことを「演出」しておこうと考えているのですが…。

※2020年10月現在、公開中の作品です。
ネタバレもありますので、お気を付けください。

路子
路子
映画を観る気力の無いりきちゃんが、無理やり観に来た記念の映画。

私と同じように、無気力な人たちがたくさん登場していましたね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
みんな覇気が無い。覇気のある人いた??
いないですね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
だからうるさい映画ではない。暗かったり、ドロドロしていていない。ただ、みんな覇気が無い。

ポルトガルって、もっと陽気で、太陽でみたいな、ラテンのイメージがありましたけど、そうではないんですね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
りきちゃんが考えるポルトガルって、そういうイメージ?
ポルトガルは行きたいところのひとつなのだけれど、隣のスペインとは文化も全然違う。それこそスペインが持つラテンのイメージとは全然違うんですって。映画を観ていても、独自の文化があるような気がする。
映画では、壁画や部屋などで文化を感じられますが、タイトルの割には、そんなに強く描かれてはいなかったですね。寄り添う程度。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
ヒロインのフランキーの友人で、ヘアメイクアップアーティストのアイリーン(マリサ・トメイ)がプロポーズを断るシーンがあるでしょう?
彼女は、プロポーズの場所がポルトガルでは無かったらOKしていたかもしれない、ここには何かがある…と言っているけれど、そこが分からない。
ニューヨークはごちゃごちゃしていて云々と話していたので、住んでいるニューヨークと比べると、色々なものが澄んでいる、という感覚なんですかね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
でもそれだと、都会と田舎、という感じになってしまうでしょう?
たしかに。
りきマルソー
りきマルソー

最初にドドッと説明なしに登場人物がたくさん出てくるので、人物の関係性を追うのが少し大変でしたね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
途中まで追うのが大変だったね。
離婚危機を迎えている夫婦とフランキーとの関係性も、どういう繋がりなのか、後半までわからなかったです。
離婚危機夫婦の奥さんであるシルヴィア(ヴィネット・ロビンソン)は、フランキーの義理の娘なんですよね? ジミー(フランキーの今の旦那/ブレンダン・グリーソン)とその元奥さんとの子ども。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そうそう。それで、フランキーがジミーと再婚をした時に、フランキーと元夫との子どもであるポール(ジェレミー・レニエ)がシルヴィアとセックスをしてしまい、ポールは離れて暮らすことになったのよね。
ややこしい。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
離婚の危機を迎えているシルヴィアは、何故そんなに別れたいと思っているのかしら。もう限界だ、としか言っていない。何がそんなに限界なのかが分からない。
そこは描かれていなかったですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
敢えて説明をしなかったのかしら。

アイリーンの恋人だったゲイリー(グレッグ・キニア)がリスボンへ戻る話をした時に、アイリーンは何故泣いたのだと思いますか?
彼の口調からすると、別れ話に対する謝罪の涙みたいな言いっぷりでしたけど、それが理由で泣いていた訳では無いような気がするんですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
あそこで泣いたのは、フランキーの余命が長くはないことを知ったからだと思う。
私もそう思いました!
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
アイリーンはフランキーのことで泣いているのに、ゲイリーはそのことを知らないから、自分たちの別れが悲しくて泣いているんだと思っている。アイリーンはそれを感じ取りつつも、まあいいや、そういうことにしておこう、と思ってる。その気持ちはよくわかる!
男って身勝手(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
好印象だった男って、夫のジミーくらい?
ジミーがフランキーとセックスをした後に、ピアノの部屋でごめんね、と、言うのは、体調が優れないのにこんなことをしてしまってごめんね、のごめんねですか?
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
あれは、フランキーの前で泣いてしまったことでのごめんねよ(笑)。
そんな時に襲っちゃって、身勝手でごめんね…なのだと思ってました(笑)。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
フランキーの前で泣くことは禁じられているからよ。だから、私の中ではジミーの印象は良かった。

路子
路子
息子はひどい。フランキーのブレスレットを森の中に投げてしまったり、遺産の話とかを平気でしたりね。
路子
路子
ゲイリーはアイリーンに対して、結婚したらこういう生活をすればいい、君は仕事をしなくていいんだよって言ったり。アイリーンは本当は仕事を続けたいと思っているのに、どうしてそんなことが分からないのかしら…。

でも、そんな人、いっぱいいますよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
キャリアを積んでいるヘアメイクアップアーティストよ?
彼にとって、囲んでおくことが優しさだと思っているんじゃないですか?
働かないで、家にいれば良いんだよ?みたいな。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうかあ。
路子
路子
ガイドをしてくれている男の子の話が面白かったわね。
離れたところに住んでいるのに、自分が誰といるかを妻が知っているのが、警察みたいで結婚が怖いって(笑)。
そこまでして何故結婚をするのかしらね。

ユペールが素敵でした。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
癌に侵されて、余命が半年も無いとは見えないくらい、元気にプールに飛び込んでいたわよね。
たしかに。
でも映画全体を通して、彼女の無気力さが際立ちましたね。ベッドに座っている時もげっそりしてる。歩いている時も、いつものシャキシャキ歩く感じではなく、ずっとフラフラしている。
アイリーンに会った時だけは、本当に好きな人に会った、という表情をしますね。そこがすごく印象的でした。余命短い時にする家族旅行に呼ぶくらいの関係性ですもんね。そんなに浅いものではないと思います。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
もちろん。
フランキーは、ダメ息子の結婚相手にと思ってアイリーンを呼んでいるのもあるけれど、結局、ジミーとくっつく、というのを…。
感じ取っている雰囲気はありましたよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
寂しいけれど、それすらも良しとしているような表情をしていたね。

路子
路子
山の頂上に集まるというのは、何を表現していたのかしら。
みんなで登ったのに、あっという間に降りてきましたよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
みんなが集まってくるのを見ているフランキーの表情は、とても良かった。
集まって話すでもなく、みんなで並んで、ただ帰っていく、というのがよく分からなかった。
散らばって景色を見ている感じですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
フランキーは、夕陽を見ながらスピーチでもしようとしたけれど、そんな気にならなくなったのかしらね。

それにしても、今の無気力な私にとっては、ちょうど良い映画でした。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
登場人物の中に紛れ込めるぐらいよ(笑)。
例えば、ラストにユペールが崖のところで自殺しちゃうとかだったら無理でしたけれど、そういう突飛なことではなく、「THE 日常」を描いているんですよね。
生も死も、恋の始まりも終わりも同性愛も全て詰め込んで、わっちゃわっちゃになっている感じはするけれど、世の中の単位で考えれば、ごく普通のことで、どこにでもあって、なんともない日常の風景なんですよね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そう。日常の風景をポルトガルを舞台に描いている。
パンフレットの監督のインタビューには、こうあります。
「シントラは発見の町です。角を曲がった先に何があるのか予測できません。ところが登場人物たちは目に見えるものの一部にしか関心を向けていないのです。自分が見ているものについて、ほとんど話し合うことがありません。それはこの映画が表す二分性の一つです。彼らは異国の地にありながら、その土地に気をとられて我を忘れることがありません。それどころか、ほとんど気を留めることすらしません。山頂に登って、彼らは何をするのか……踵を返して戻ります。ポルトガル語で言う「ミラドウロ(展望台)」からの眺めを目にして、人生が立ち止まることはないのです。」
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
ポルトガルのどんな場所でも、彼らの人生にそんなに影響を与えないということね。観光案内の人が、教会の話や、奇跡の泉の話をしていても…。
自分たちの話ばかりで、自分達の人生を優先している感じでしたもんね。旅行に来ている感じではなかったです。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
そちらには引っ張られない何かがあるのよね…感受性の鈍い人を描いたとか?(笑)。
私でもそれは違うって分かりますよ(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
それどころじゃない…。
それどころじゃない…。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
人生の難しいシーズンにいる人達を描いているということね。いつも難しいんだけど。
そう考えると、ポルトガルの街並みのシーンとか、あれぐらいでちょうど良かったのかもしれませんね。
りきマルソー
りきマルソー
路子
路子
今の彼らにとって、ポルトガルの街並みは視界に入ってこないんだものね。
そう考えていくと、深い映画だったわ。

この後、路子さんがこの作品についてブログを書いています。
ぜひ、そちらも読んでみてください。
■「ポルトガル、夏の終わり」と精神の姿勢

~今回の映画~
『ポルトガル、夏の終わり』 2019年 フランス・ポルトガル
監督:アイラ・サックス
出演:イザベル・ユペール/ブレンダン・グリーソン/アイリーン・ビアンキ/ジェレミー・レニエ/パスカル・グレゴリー

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間