ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

◎6本目 「アメリ」



り:以前路子さんにはお話ししましたけど、私が初めて映画館で観たフランス映画が「アメリ」でした。母と2人で観たんですけど。

み:お母さんと行ったの?

り:うん。私も中学、高校生くらいで大きいのに、よく母と2人でフランス映画観に行ったなー。

み:今回家族でフランスに行く予定だっていうのもあって「アメリ」を改めて観たんだけど、割とハードなシーンがいくつかあるよね。

り:そうなんですよね。

み:ねっ。そういう目で普段観ないけれど、本当は家族で楽しめるような映画ではないよね。

り:世間では、可愛くて、ポップで、おしゃれな映画と思われているけれど、結構きわどいシーンもあるし、暗いって言うと少し違うけれど、ダークな部分を持つ女の人の話ですよね。

み:そうよそうよ。描き方でそうじゃないように見えてるけれど、世間とコンタクトの取れないとても暗い女の話。

り:世の中のイメージは絵本の形でDVDを販売したりして、おしゃれで売り出してます!みたいになっているし。でも全然違う。

み:違うよね。私、あんなことするシーンあったかなと思って。フランスに行ったらアメリのカフェに皆で行こうとか言ってるけど、えっ?じゃああそこのトイレでセックスしてたんだ…とかそういう話になっちゃうじゃないね(笑)

り:(笑)
ポルノショップのシーンとかもありますよね。

み:ポルノショップで「いろんな形」の小物がピュンって飾ってあったり、凄いよね。何人が絶頂に達したとか考えてたり。でも、私もまるっきり同じ事を考えてた事があるの。

大学生だった時、ロマンティック系な女の子みたいだけれど、夜景が大好きだったの。夜景フェチ。何処にドライブに行っても、旅行に行っても、とにかく夜景を見るっていうのが自分の中であったの。車持ってたりすると、誰も居ない暗い所で、夜景が広がっているのを見るのがとても好きだった。でもその時に、今、あの明かりの内でどれくらいの人達がセックスしてるんだろう。その中で、凄く良い感じでしてる人はどのくらいだろう。嫌だなって思いながらしてる人はどれくらいだろう…っていうのを自殺したいと思ってる人は今どれくらいだろうと同じ並列でいつも考えてた。だから「アメリ」を観た時、「あっ、同じ風に思ってる人がいる!」って思ったの。

り:それは、そう思い始めたきっかけがあるんですか?

み:ううん、無いと思う。昔からそういうのを思ってた。思考がそういう感じ。だから、ホテルの窓を見てても、何組の人がしてるんだろうとか。

り:ホテルの窓は私もある(笑)

み:あるよね! あるよね! それの延長線上だと思う。



り:「アメリ」を観に行った事と、その後に観に行ったフランソワ・オゾン監督の「8人の女たち」でフランス映画が好きになって、フランス映画をよく観るようになりました。よく観るようになってからすぐ後に「8人の女たち」で好きになったイザベル・ユペール出演の「ピアニスト」を観た。「ピアニスト」なんて観ちゃったから、観る映画が偏っているのかも。

み:でも「アメリ」と「8人の女たち」スタートって、凄くカラフルだよね。

り:入りやすかったんだと思う。

み:カラフルで、綺麗な色彩。両方とも色が沢山あるよね。色彩は特に凄い。iphoneの機能で写真を撮る時に付けるフィルターってあるけど、クロームとかプロセスとかがアメリ色じゃない? いつも思うの。ちょっとブルーがふわっとかかった色。とても綺麗よね。

り:そういえば、「皮肉っぽさ」が2つの映画に共通してる。

み:「アメリ」なんて本当にそういう感じでしょ? 今回「アメリ」を観たのが4回目くらいなんだけど、1度目は凄い有名だからってDVDで観たの。評判の映画、おしゃれなんだっていう目で観て、そんなに入らなかった。次に観た時は何歳ぐらいだろう…軽井沢で観て、「アメリ」ってこんな映画だったっけ?って凄く泣いた。

何にそんなに反応したかというと、それこそ「ミスフィッツ(はみ出し者・不適応者の意味)」。マリリン・モンローと一緒で「ミスフィッツ」な部分にとても共鳴して、「アメリ」ってこんなに哀しい映画なんだって凄く泣いた記憶がある。

り:両親の影響と、お父さんが決めつけた心臓病という理由で、学校に行かずお母さんから勉強を教えてもらっていた。だから外の世界との繋がりが無く、自分の殻に閉じこもったり、空想の世界に入り込んだり。外に出なかったから友達も出来ない。だから自分自身が友達みたいな生活を小さい頃からしてたのかな。

み:環境はあるけれど、学校に行っててもアメリの変な所はあったと思うよ。「あの子ちょっと変わってるよね」っていうものは持ってたはずよ。だから多くの人があまり反応しない所に反応したり、気付いたりするっていう部分が例えば…みたいに出てくるよね。普通の人が普通にしている事が出来ない。

アメリの嫌いなもので「アメリカ映画のわき見運転」っていうのがあったけど、あれも一緒なの! 特に古いアメリカ映画って、ずーっと横見て話してるからぶつかるよっていつも思う。私あれ本当に嫌なの。

り:私、他の映画で「アメリカ映画のわき見運転」を観る度に、アメリの事を思い出す。

み:あれ本当に一緒だったから笑った。私だけじゃなかったんだ!って。大嫌いな物の内の一つ。




り:よく世間で注目されている所は、アメリの好きな事じゃないですか? クレームブリュレのカラメルをスプーンで割るとか、そういう所は凄く。

み:フォーカスされてるね。

り:裏の部分というか、ダークな部分こそ面白いのに、あまり表立ってないですよね。

み:またタカビーというか、自分が選ばれた人間みたいな言い方をしてしまうといけないけど、あそこに含まれている強烈なマイノリティへの共感とか、そういう物に気付いてる人ってどれくらいいるんだろう。誰にも分かってもらえないから自分の中で昇華して、自分の中で物語を作ったりする感じ。上手く自分が動いてる時は忘れてる事もあるんだけど…。

り:だからこそ、キラキラ映画みたいに言われてるですよね。そこに気付かないから。

み:別にそこに気付かなくても楽しめるからね。

み:「アメリ」初めて観た時どう思った?

り:当時は一般的な観方と一緒で、おしゃれでカワイイなって思ってたかな。アメリのやる事がいちいち面白いなとか。

み:何回くらい観たの?

り:一時期、絵本で「アメリ」のDVDが発売されていたんですけど、誰かの誕生日だったり、誰かへのプレゼントとしてそれをあげていたんです。で、あげる時にあっ、また観ようって思って観ていたので結構な回数観ていると思います。


り:今度ブロードウェイでミュージカル化するんですって。ジャンピエール・ジュネ監督はミュージカル化に嫌悪感を抱いてるけど、子どもの医療を支援する慈善事業に携わっている関係で権利を売ったって。違いますよね、やっぱりミュージカルではない。音楽も違う人だって。

み:ヤン・ティルセンの音楽の使い方が上手い。それだけでも泣けてきちゃう感じ。

り:音楽は私も好き。初めて買ったDVDも「アメリ」なんですけど、初めて買った映画のサントラCDも「アメリ」。

み:サントラは、私が持ってるヤン・ティルセンのCDと結構かぶってたよ。あの音楽が映像と一緒に流れるだけでも切なくなっちゃう。

り:音楽がとても良いので、昔、耳コピ―をしてピアノで弾いたりしてました。

み:何コピー?

り:耳コピ―。耳で聞いて、ピアノで弾く。

み:りきちゃんってピアノ弾くの?

り:昔ちょろっと。

み:えっ? 今初耳なんだけど! 違う所に反応しちゃった。

り:(笑)

み:じゃあ、これを聴いて再現できるの?

り:ちゃんと出来る人はもっと凄いと思いますけど、私はもの凄い時間をかけながらやってました。

み:おうちにピアノがあるのね?

り:あったんです。今は友達からもらったキーボードですけど。サントラの中には結構ピアノの曲もあるので、それを弾いて1人で楽しんでたりしました。

み:りきちゃん、色々アメリグッズ持ってるけど、りきちゃんの写真集結構ボロボロになってたね。(公開当時に出版されたソニーマガジンズ出版の「アメリのしあわせアルバム」)

り:そうそうそう。年季が入ってる。だって、私が中学、高校生くらいの時ですかね。だから、17、18歳くらい? 10年ちょっと前くらい。(と言いましたが、実際には「アメリ」の日本公開は2001年なので、私が中学生で14歳の時でした。記憶のあやふやさが恐ろしい。)

それでフランス映画を好きになったし、フランス以外のミニシアター系映画を観るようになったきっかけでもあった。その前から「サウンド・オブ・ミュージック」とかのミュージカル作品を観て、映画が好きだなって思ってはいたけど、ちゃんといろんな映画を観るようになったのは「アメリ」がきっかけかもしれない。

み:お母さんがフランス映画が好きで一緒に行ったの? 監督が好きだったの?

り:監督が好きとかでは無いと思います。公開当時って、話題作品だったじゃないですか? で、話題になって落ち着いた頃に行きました。だから映画館もそんなに人居なかったと思います。

み:何処の映画館だった?

り:川崎のチネチッタがまだ駅ビルの中にも映画館を持ってた頃にそこで。

み:チネチッタってシネコン?

り:川崎に昔からあるシネコンです。

み:じゃあ大きな所でやってたんだ?

り:駅ビルにあった映画館は、ミニシアター系を多くやっていた小さい所だったと思います。

み:面白いのがあるから一緒に行こうって感じで?

り:母とは美術の趣味や映画の趣味が合っていたので、たまに一緒に出掛ける事があって、その1つです。


み:アメリが関わる人、例えばルノワールを模写しているおじいちゃんとか、八百屋のちょっとぬけてる男の子とか、旦那さんが死んじゃった管理人のマダムとか。同じ悲劇とか、たっぷりの哀しみを持った人物というのも、描き方によっては全然違う。だから、おじいちゃんも、管理人のマダムも、全然違う描き方をしたら、凄く悲惨な人生だったし、救いが無いと思うの。だけど、それが一切省かれた感じで、どれだけ寂しい日常なのかっていうのを全部観る者の想像力に委ねてる。そういう描き方をされているのが好き。その人達に対する描き方というか、光の当て方が多分あの映画を一見ポップな感じにしてるんだと思う。

り:寂しい中でも、一筋の光の様なものを持って生きていますよね。

み:そうそう。完全に絶望している訳では無いんだよね。相当寂しいと思うけど、それでも生きていけるんだなっていう励ましみたいな。アメリと関わってアメリからビデオが送られてくるみたいに、日々少しずつの楽しみとか、ちょっとの喜びで人って生きていけるんだなって感じがするよね。

あとは自分の忙しさとか、アメリほど旺盛でない好奇心のせいで、どれだけのものを見落としているんだろうって思う。例えば、ダイアナ妃が亡くなったニュースをアメリが観ている時に、缶の入れ物を見つけて持ち主を探そうと思う場面。そこまでにはアメリがずっと人との関係を遮断しているっていう前提があるけれど、その缶の持ち主を見つけられたら自分の世界から飛び出そうって思ってるんだよね。それで探し始めるけど、自分が缶の入れ物を見つけても、そうは思わないよなってまず思って。

り:うわぁーなんだろう! わあー凄い! とは思う。

み:どうしたら誰かに届けられるのかなー? って置いておいておしまいかな。届けてあげたら喜ぶだろうなとか、そこまでは思う。例えば、りきちゃんに会った時にこういうのが見つかったんだけど、どうしたら良いと思う? どうしたら良いんでしょうねー? っていうやりとりはするかもしれないけど(笑)

もうひとつは周りの人との関わり。ずっと閉ざしてたからこそなんだけど、皆をちょっとでもハッピーにする為に動くとか…。何か見落としてるものがあるだろうなって。だから、アメリの視線を忘れないでいたいと思った。

り:見落としてるだけじゃなくて、更にそこに行動も加わるじゃないですか? 中々その行動に移すのって難しいですよね。

み:難しいよ。「メンタリスト」なんて観てるうちは余計難しい。余裕が無い。アメリは自分の中だけで完結していくんだけど、視線は他人に向いてるんだよね。閉ざしながらも他者を見ていて、他者に対する好奇心は常にある。それを行動に移して、他者と実際に関わりを持てるのか持てないのかは映画の中盤ぐらいから変わってくるけど、それまでの20年くらいは関わりを持ってこないできた。
それが23歳でちょっと変わろうと思って、ようやくコンタクトを持ち始めるけど、持ち始める前も凄い人を見てるよね。人に対して好奇心を持つっていうのも私には無いなあ。しかも、愛情ある好奇心というか、面白いな人間ってみたいな。それが多分この映画を面白くしているんだと思う。普段、皆が同じ景色を見ながら、貴方見落としてるでしょ?っていうのがよく見える。

り:他者との関わりが無かったからこそ、今そういう好奇心が出ているんですかね? 幼い頃を補うというか。

み:うん、多分そうですよね。

り:子どもって「なんで? なんで?」っていうのがあるじゃないですか。そういうのにも近いと思うし、余裕があるというか彼女の出来る範囲なんだと思う。彼女が余裕があるとか無いとかを考えずに、自分が出来る範囲でしか考えていない事なのかなって思った。

み:なるほどね。

り:そこに、缶の入れ物を見つけた事でプラスしてちょっと一歩進んでみようと思った。でもそれも自分が出来る範囲で成功したらっていう前提がある。自分なりの人生の進み方。

み:出来ない事は、しようって最初から思っていない訳だ。変な高望みっていうのは確かに無いね。なるほどね。
じゃあ、あの缶の入れ物を見つけて、これを届けられたら自分の世界から飛び出そうって思うのは、誰かに言われたとかの理由は特に無いでしょ? それは人間の成長でその時が来たからとしか言いようがない? でも自分でそう思うんだもんね。

り:水風船が割れたみたいな感じなんですかね。自分の中で急にパン!って。

み:でもそういう事ってあるよね。いろんな要素が混ざって何がきっかけとは言えないんだけど、何かが出てきてパン!って割れるみたいな。あれが誰にでもあるようなその瞬間なんだろうな。
恋の一目惚れはどう思う? 心臓がドクンっていうシーン。

り:ありますよね、そういうの。

み:やっぱりあるよね。


み:アメリの監督って、その後何撮ってるの?

り:「ロング・エンゲージメント」を撮ってます。オドレイ・トトゥと私の好きなギャスパー・ウリエルが出演している、第一次世界大戦が少し題材として入ってる話なんですけど、オドレイ・トトゥ演じる主人公もちょっと変わった子。

み:でもテーマは戦争なの?

り:婚約者の彼が戦争に行って戦死したって周りが言っている中で、絶対に死んでいない、彼に何かあれば自分には分かるはずっていうの信じ続けてる。

み:観てない。私、多分戦争映画だから避けたな。

り:その後はミックマックとか。それこそブラックユーモア。

み:ジャン=ピエール・ジュネ監督の作品って、あまり観てないや。「アメリ」はその中でも凄い評判になったんだよね?

り:フランス映画っていうと、皆「アメリ」って言いますもんね。

み:うん、フランス映画知らない人でもね。「アメリ」って流しておくだけでも良い。別に深く考えなくても、色彩とか動き的にも眺めてたい。終わり方がハッピーエンド過ぎたかなって感じはするけど。


み:オドレイ・トトゥはこれで人気が出たんだよね?

り:そうですよね。それまではフランスではセクシー女優みたいな扱いだったらしいんですよ。

み:嘘!?

り:だから過去の作品観てみると、脱いでいたりするのもあって。

み:じゃあヘアスタイルも全然違うでしょ?

り:うん。そういう捉われ方をされていたのが、「アメリ」出演によって「アメリ」のイメージがついた。今度は皆そういう風にしか見なくなって、苦悩があったみたいなインタビューを以前見た様な気がします。だから、最近の活躍を見ていると、日頃から言ってますけど良い干からび方をしてきたなって思う(笑)

み:最近は何出てる?

り:最近は、スパニッシュ・アパートメントの続き「ニューヨークの巴里夫(パリジャン)」じゃないですかね。あれは割と最近だと思いますが。フランスでは「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン監督が撮った「エテルニテ」にオドレイ・トトゥが出演していて気になるんですけど、まだ日本では公開が決まっていなくて。「ナタリー」とかも最近のかな。(といっても、2011年公開作品でした)

み:「ナタリー」は凄い良い映画ですよね。

り:うん、良かった。あまり評判にはならなかったけど。

み:「ナタリー」は「アメリ」と並んで、おしゃれでポップでテイスト的には似てるよね。大好き。あの男優(フランソワ・ダミアン)はマヌケな顔で嫌いだけど。いろんな所で観るんだよね。

り:本当ですか?

み:この間もあー出てきた!! お前かー!!みたいな感じで(笑)何に出てきたんだっけな。似たような感じでいつも出てくるのよね。

り:コメディアンなんですよね。

み:知らないけど、あの顔やめてほしい(笑)

り:私も観たような気がする…。「神様メール」だ!

み:そうそうそう! あと他にも出てる。

り:「エール」にも出てる。

み:それは観てないけど、予告編を観て出てるっていうのは知ってた。人気あるんだよね。あと何に出てる?

り:「タンゴ・リブレ」

み:「タンゴ・リブレ」だ! 私、タンゴの映画全部観なおしてるから。「タンゴ・リブレ」にもこいつ出てたな(笑)「タンゴ・リブレ」良い映画だよ。今、タンゴやってるからかもしれないけれど。

り:主人公がフランソワ・ダミアンなんですか?

み:そうなんですよ。タンゴ踊るんです。全然感じない(笑)


み:「アメリ」で一番好きなシーンって何処?

り:何処だろう。悩みますよね。

み:本当にフォトジェニックだよね。

り:豆に手を突っ込むシーンとかも結構好きなんですよね。手を突っ込んで、話しかけられてハッ!って手を引く所。

み:私、豆に手を突っ込むのも好き。昔、うちが商売やってて、そのお店でああいう風に豆を売ってたの。昔だから缶々にそのまま入ってて、漏斗で量ってお客さんに売ってたんだけど、いつもその豆に手を突っ込んでた(笑)だから気持ち分かる。本当に豆って気持ち良いの。

り:常に水きりの石をいろんな所で拾ってポッケに入れるのも好き。

み:あれはおまじないだよね。何処かに行く時とか、何かをする時に、息をフッ!ってやるのは多分何かの願掛けだと思う。
私は小人が世界中で写真を撮ってくるのが好きです。

り:あれ本当にあったんですよね。各地で写真を撮ってる小人の話って。確か実際にあったと思う。

み:えっ? どっちが先?

り:分からない…。

み:映画で皆真似したんじゃなくて?

り:どっちなんですかね。実際にもあったって何かで聞いたことがある。

み:実際にもあったって言い方をするって事は、映画より先だよね。それを実際にあったていうのを皆が知ってる前提で、アメリが真似したって事なのかな。
あと、アメリがテレビを観ながらモノクロの画面に自分を当てはめるシーン。自分の人生をそういう風に当てはめて、色々とシュミレーションしちゃうっていうのをよくやるから。

り:アメリと近い事が本当に多くあるんですね。

み:凄い共感する。そうは見えないでしょ? だけど私も実際、「キャラクター的にも私アメリに似てるの。」って言うと皆にブー!って吹き出されそうなのは分かるんだけど、凄い共通点があるから、2回目に観た時に大泣きしたっていうのはそこよ。もう、気持ちが分かってわかって堪らなかった。今はもうちょっと汚れて摩耗しているから、そこまで泣けなかったけど。
あの時は「アメリ」ってこういう映画だったんだって思ってボロボロ泣いた記憶はある。全員不器用でしょ? だから多分、全員に共鳴したのかもしれない。哀しくてかなしくて堪らなくなった。アメリにも共鳴するんだけど、いつも薬を飲み続けてる人とか、ストーカー紛いの愛情表現が下手な彼とか、そういう人達全員に共鳴してたような気がする。

り:アメリって、全部手伝う訳では無いんですもんね。そういう人達に、最初のきっかけをポンって投げるだけ。全部御膳立てする人っているじゃないですか? そういうのとは違う。

み:そうそう、そういうのじゃない。それがさっき、りきちゃんが言ってた事でなるほどなって思った「自分の出来る範囲でやる」って事にも繋がると思わない?

り:うんうん。

み:そっちに支配されない。やっぱり、あくまでも自分が動ける範囲、無理のない範囲でって所はあるよね。
あとは、アメリが一目惚れしたニノがアメリのカフェに来て、写真を見せながら「これ、君だよね?」って聞く場面。彼が帰っちゃうと、水になって溶けちゃうシーンはいつ観ても笑える。


み:アメリとニノはずっと仲良しなんでしょうか?

り:喧嘩はしなそうだけど、お互いに何かあると落ち込んで。

み:殻に閉じこもる。

り:そうそうそうそう!

み:(笑)
これはお互い殻に閉じ込もるよね。喋らなくなりそう。それで人形とかに話しかけてそう。

り:私、アメリのベッドの上にある絵や、ベッドサイドにある豚の人形付きランプを作ったミヒャエル・ゾーヴァの展覧会も観に行ったんです。

み:そんなのもあったの? 「アメリ」オタクだね。

り:そうですね。好きでしたね。

み:アメリの部屋も可愛いしね。いわゆるパリジェンヌのアパルトマンって感じ。

り:アメリって、小さい頃からやる事が変わってないですよね。

み:野イチゴを指に付けてピピピピって食べるとか?

り:それも多分大人になってもやってる。

み:やってる、やってる。

り:小さい頃、隣人に嫌な事を言われて仕返しに意地悪する所とか。

み:サッカー中継の決定的場面でテレビの電源を切っちゃうとかね(笑)

り:そういうのは昔からやってるし、大人になっても意地悪な八百屋の親父に、ちょっとした嫌がらせというか、イタズラをしますよね。靴のサイズを少し小さいのにするとか、扉の取っ手を逆にするとか。

み:最高の嫌がらせだと思う。

り:憎めないんですよね。

み:そうね。観てて笑っちゃうくらい。でも割と効果的。

り:地味にきますよね。

み:自分が狂ったと思っちゃうよね。


り:凄く「アメリ」が好きだった頃、同級生に楠田枝里子、楠田枝里子って言われ続けて凄い嫌だった(笑)

み:その同級生、少し親父くさいね。 そういう親父っている。ちょっと似てる所があると、それだけで言う人って嫌いだなー。いるんだよね、そういう人。
当時アメリの髪型にして失敗した人、いっぱい居ただろうね。

り:いると思いますよ。

み:似合う人はほんの一握り。
お父さんの所に人形から手紙が届き始めた時に、心ここにあらずみたいなお父さんと食事をしてる場面も好き。「最近どう?」ってお父さんが聞いてるのに、聞いてる本人が話を聞く状態じゃないから「妊娠して、中絶を何回したわ」みたいな事を話しても、「そうか、それだったら良かった。」ってお父さんが何も聞いていないっていうのを証明するシーン。何回観ても面白い。
でもそういう時ってあるよね。私、やっちゃう。相手が上の空だった時に、今何言っても大丈夫なんだろうなって思って、アメリと同じ様な事をやるの。それもビックリした。やってることが一緒なの。「私この間寂しいし、3人の男の人が私の所に来たから、3人いっぺんに相手したら凄い気持ち良かった。」ってぼーっとしてる相手に言って、反応を見ようとしたりするのをよくやるから、あれっ?私と同じって思ったの。

り:まず、路子さんを知りたければこれを観ろって事ですね!

み:(笑)
違うよー。そこまで似てないけど、何か分かる。やっぱり社会的な人間として適応しなきゃいけないっていう意識があるから、理性っていうものがあるの。一生懸命ブレーキをかけたり、ここの部分は出さないようにするっていうのは私の中で働いてる。でも、そういう部分を取っ払っちゃったら、おもいっきりアメリみたいに出来るはず。だって、そういう部分を持ってるんだもん。妄想好きな所も似てるもんね。

り:アメリもニノも似てますよね。

み:そっくりだよ。双子みたい。

り:アメリが変装して作った「あなたは私に逢うことを望む?」っていう写真に対して、彼女のおへその写真に「いつ、どこで?」と書き加える部分なんて特にそう思う。

み:そうそう。ニノが写真を集める前は笑い声を集めてたっていうのを聞いて、アメリが「何て面白い人なんだろう」っていう感じで凄い嬉しそうにするの。自分の感性と一致するって事でしょう?

り:実は小さい頃から同じ事を考えてたっていうシーンもありますよね。窓際で鏡に光を反射させてキラキラさせるのを2人ともやってた。

み:2人のやってる事を見てると、私がよく恋愛論で使うプラトンの話を思い出す。天上の世界では完璧だったんだけど、地上に落ちてきて半分になっちゃったと。半分になっちゃったから、自分の半身、片割れを探さなくてはいけない。探した時に、初めて1つの人間として完璧になる、それが運命の相手だみたいな言い方をするけど、この2人は正にそうだよね。だから一目惚れとか惹かれていく事に納得がいく。

り:私もそんな片割れが欲しい。舞台でもよくその話聞きます。野田秀樹の作品かな?

み:有名な話だからね。そういう風に考えるとロマンティックだから、皆使いたがるのよ。なるほど、だから探すのか。じゃあ、会えない人はずっと一人前にはなれないんですね!って事になるんだけど(笑)

り:えーーっ!?

み:ずっと半分のままかい!みたいな感じにはなるんですけど。

り:会えるとは限らない…。


~今回の映画~
「アメリ」 2001年 フランス
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ/マチュー・カソヴィッツ/ドミニク・ピノン/イザベル・ナンティ/ヨランド・モロー

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間