☆25本目『パリジェンヌ ーソフィー』
2020/02/06
【あらすじ】
ある日、母親の恋人が書いたラブレターを拾った18歳のソフィー(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、その手紙を使い、クラスメイトを相手に、ある計画を思いつく。
その帰り道、翌日に音楽コンクールで使用するギターが壊れてしまったと嘆いている歌手志望のジャン(ジョニー・アリディ)に出会う。
短編オムニバス映画。カトリーヌ・ドヌーヴが出演しているのは、4本目「ソフィー」。
路子
ソフィーとジャンの関係が、本当に短い時間で表現されていたわね。
本当に短い。30分無いくらいでした。
りきマルソー
路子
2人の間で共感するものだったりが、短い時間なのに、とてもよく分かる。
いくらでも長く出来るのに、短時間に凝縮出来るって、やっぱり凄いですよ。削るのって、とっても大変ですもん。ドヌーヴは、この作品ではじめて主演を演じたんですよね?
りきマルソー
路子
これが初主演なのね!
しかもロジェ・ヴァディムが原案なんですって。
ロジェ・ヴァディムは、この作品の翌年に作られ、ドヌーヴも出演した「悪徳の栄え」を撮った監督。ドヌーヴとパートナーだった時期があったけれど、結婚はしていない。ドヌーヴの息子 クリスチャン・ヴァディムのお父さんでもある。ブリジッド・バルドー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェーン・フォンダを作った男、と言われていて、彼女達は、彼に会った事で、女として花開いていく。有名な話があって、彼女達に「家にいる時は、下着を付けるな」って言っていたの。そうする事で、エロティックな感じを出させていったんですって。ジェーン・フォンダって言うと…。
しかもロジェ・ヴァディムが原案なんですって。
ロジェ・ヴァディムは、この作品の翌年に作られ、ドヌーヴも出演した「悪徳の栄え」を撮った監督。ドヌーヴとパートナーだった時期があったけれど、結婚はしていない。ドヌーヴの息子 クリスチャン・ヴァディムのお父さんでもある。ブリジッド・バルドー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェーン・フォンダを作った男、と言われていて、彼女達は、彼に会った事で、女として花開いていく。有名な話があって、彼女達に「家にいる時は、下着を付けるな」って言っていたの。そうする事で、エロティックな感じを出させていったんですって。ジェーン・フォンダって言うと…。
エアロビのイメージですよね。私の母が昔それを観ながら踊っていて、階下に住む管理人に、うるさい!って怒られていました(笑)。
りきマルソー
路子
ドヌーブは高校生役なのね。
路子
かわいかった!
かわいかった!
りきマルソー
こんなドヌーヴって…。
りきマルソー
路子
あまり見ない。
こういう風に無邪気に笑うんですね。
りきマルソー
路子
そうそう、笑顔がすごく素敵。
路子
かわいい!
かわいい!
りきマルソー
路子
ツイストを踊っている時も。初々しさがあるわね。
ずっとニヤニヤしながら観ちゃいました。
りきマルソー
路子
私も! 微笑ましい! 楽しい!
時より見せる大人っぽさと、少女らしさの両方が見え隠れしていて、子どもと大人との境で揺れ動く18歳の少女の姿が、上手く表現されていましたね。
りきマルソー
路子
若いことに負い目を持っているようにも見える。若いのを自慢している訳ではなく、早く大人になりたいと、思っているような感じ。
フランスってそういう意識がありますよね。
りきマルソー
路子
そうそう。パーティーに行っても、お母さんのような色っぽさが自分には無い、と感じている。それはやっぱり若さ故もあるから。だから、18歳という年齢に対して、劣等感を感じているように見える。ちょっとツッパってる感じもするしね。
路子
ソフィーの家に行った時、ジャンは彼女に何もせず、すぐに帰ろうとするでしょう? そこでソフィーは彼を引き止めて、「帰らないで 私のそばにいて」って言うけれど、ちゃんと言葉にしてそう言えるのが羨ましい。
親が家にいない事が多くて、その寂しさがあるから引き止めたんですよね? 「涙は出なくても 心で泣くこともある」って言っちゃうくらい、寂しい日々を送っているから、きっと泣いてたんでしょうね。
りきマルソー
路子
うん、そうだと思う。次の日に歌の大会を控えているのに、帰らないで、ソフィーの側にいてあげるジャンの優しさも良い。はじめてふたりが出逢ったとき彼は泣いていて、そのとき「寂しくて涙が出てきた」と言ってる。そういう感情の持ち主だからこそ、ソフィーの涙の意味が分かったのね。
だだっ広い家だから、寂しさも倍増しますよね。あんな家にひとりぼっちでいたら、本当に寂しくなっちゃう。
りきマルソー
路子
そうよー。「愛に身を委ねているけれど、ふしだらな人ではない」と、認めている部分があるから、母親を否定することはしたくない。けれど、やっぱりひとりぼっちの時間が多いから、とても寂しく思ってる。家に沢山ある人形は、そういった寂しさや、少女性の象徴だと思う。これだけ寂しい想いを味わってきた女性が、その後どうなっていくかが、とても気になる。すごく過剰なものを求めていくのか、それとも、寂しさに慣れているから、ちょっと諦めみたいな気持ちを持っていくのか。りきちゃんはどちらだと思う?
どっちだろう…。私なら転げ落ちる方ですかね。
りきマルソー
路子
どこまでも。今までの渇望を満たしてやるー!って感じ? それで彼は満身創痍になりながらも関係を続けて、凄い曲を作っていくとかね(笑)。
やだーそんなの!(笑)。
路子さんはどちらですか?
路子さんはどちらですか?
りきマルソー
路子
私は…前だったら、同じく転げ落ちる方だったけれど、今は諦めの方に行くと思う。
ソフィーには、若さ故の危険への甘さみたいなものがありますよね。はじめて会う男の家にいきなり入って行くし、扉を閉められたら危ないかも…って私達が思うような事も、なんとも思ってない。若さってそういうのを乗り越えちゃったりしますよね。
りきマルソー
路子
若さだけではなく、経験の無さもあると思う。何かで危険な目にあった、ということを、恐らくまだ経験していないから、そういった事に対しての危機感が少ない。無防備。例えば、ジャンが悪い人で、傷つくことがあったら、次は警戒するだろうけれど。
路子
私、大学1年生の時って、まだ誰とも付き合ったことは無かったの。そんな時代に新歓コンパに参加した時、一番家が近い、ひとつ上の先輩が送ってくれたの。家の前まで送ってもらったから、礼儀として、「送って頂いたので、部屋でコーヒーでもいかがですか?」って言ったの。そしたら先輩が、「こんな夜遅くに、男の人を家に入れちゃダメだよ。」って。
(笑)。
りきマルソー
路子
信頼している、という以前の問題なのよ。
当時の路子は何も知らなかったんですね!
りきマルソー
路子
そうそう。育ちがそうさせたのかは分からないけれど、お礼としておもてなしをしなきゃいけない、と思っていたから。でも先輩は、この子はまだ何も知らないんだな、という感じで笑いながら、「今後の為に言っておくけれど、そういうことはしちゃダメですよ。」って余裕な態度だった。ソフィーを見て、そんなことも思い出しちゃった
色々と知りたい年頃でもあるんですよね。友達や同級生よりも、男性経験が少ないように見えるし、今まで抑えられていた何かが爆発したようにも見える。
りきマルソー
路子
今、経験をして大人になりたい、という気持ちも、きっとあったのね。
路子
ジャンが電車に乗っているシーンでは、向かいの席に置いているギターを、「僕の恋人の分身なんです」って言うけれど、そういう所からも、これから2人がきっと上手くいくだろうな、というのが分かる。その席をそういう理由で、笑って譲らないのが、フランス的な感じね(笑)。
うん(笑)。
それを周りの乗客も笑って見てるのが良いですよね。日本だったら嫌な顔されますもんね。
それを周りの乗客も笑って見てるのが良いですよね。日本だったら嫌な顔されますもんね。
りきマルソー
路子
そうそう。私は、ああいうの好き!
ソフィーが友達にからかわれているラストシーンは、ジャンと恋人になったから、余裕のある表情なんですよね。何を言われても気にしないという顔。大人に一歩近づいた感じ。
りきマルソー
路子
そうそう! これは大・オススメな作品ね。非常に素晴らしい短編。ちなみにオムニバスの中の4話目ですよ、みなさん!
パッと観られますし!
りきマルソー
路子
素晴らしい短編小説を読んだ後に似ている気分だったわ!
~今回の映画~
『パリジェンヌ ーソフィー』 1962年1月 フランス
監督:マレク・アレグル
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ/ジョニー・アリディ