ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

☆40本目『8人の女たち』

2019/12/11


【あらすじ】

クリスマスを祝うため、集った家族、そして使用人、友人。雪に閉ざされた屋敷で起こった奇妙な殺人。犯人探しをするなかで、しだいにそれぞれの秘密か明らかになってゆき・・・。

同じお金持ちの夫人でも、『しあわせの雨傘』のドヌーヴの役柄とは全然違うんですよね。こちらの映画の方がもっと強欲だし、夫と別の男と逃げようとしているし。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
嫌な女よね。全然違う。

ギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ)みたいなのは、ブルジョアとは言わないんですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
ブルジョアだと思う。

同じブルジョアでも、こんなに違う。お金持ちの嫌な奥さんと…。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
金持ちの良い奥さん。立ち位置は一緒なのにね。


私は、『アメリ』と『8人の女たち』でフランス映画が好きになったんです。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
2作品とも色彩が豊か!

たしかに!
どちらも高校生ぐらいの時に母と映画館に観に行ったんです。それまでにもハリーポッターシリーズやジブリ作品を一緒に観に行ったりはしていましたが、急にフランス映画チョイス。でもそこで、フランス映画というものに魅了され、一筋縄ではいかない物語、色彩の豊かさ、煌びやかだけではない女優の美しさを初めて経験したんです。
シミやソバカスがあるような歳を重ねた女性を、こんなにも魅力的に見せるオゾン監督って凄いと思いました。
女優の美しさという点では、特にオーギュスティーヌを演じているイザベル・ユペールに魅力を感じ、好きになりました。
その後、学校の国語女教師に『8人の女たち』を観たことを話したら、オゾン監督の『焼け石に水』を教えてくれたんです。それ以外にも、フランス映画のイロハのようなものを色々教えてくれました。
それからはミニシアター映画をよく観るようになり、今はもう無いのですが、シネスイッチ銀座などでやっていたような映画を上映する「関内MGA」というミニシアターによく通いました。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
どういう環境に身を置いているのよ(笑)。
でもそういう映画館ってあるわよね。私にとっては「Bunkamura ル・シネマ」がそうだった。

だからこの作品は、私が映画を好きになった原点とも言えます。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
じゃあ『8人の女たち』は記念碑的な作品なのね! オゾン監督だと、次の作品は『スイミング・プール』。 そこでシャーロット・ランプリングにも出会うわけね。

そうですね。そうやってどんどん好きな監督や女優の出演している作品を観ていくことで、色々な俳優の知識が広がりました。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
まあ、りきちゃんの場合は歳を重ねた女優が好きという、限定的な広がりだけど(笑)。

そうですね(笑)。
でもカトリーヌ役のリュディヴィーヌ・サニエみたいな若い女優も好きですよ!
りきマルソー
りきマルソー


路子
路子
サニエ、この作品では、とても若く見えるわね。

子どもっぽさがありますよね。サニエはオゾン監督の作品によく出演していますが、この作品の前の『焼け石に水』では、かなりグラマーでしたよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
しかもバリバリのヌード。

そうそう。それと比べると、本当に幼く見えます。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
見せ方が上手いわね。

そして『スイミング・プール』。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
数年後にはクロード・シャブロル監督の『引き裂かれた女』にも出演しているわね。

そうですね。
フランス映画祭にもゲストとしてちょこちょこ来日してますけど、よく喋るし、ニコニコニコってしているし、気さく。そんな感じなのに、映画の中では化けますよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
『愛のあしあと』のサニエもすごく良い。たしかドヌーヴの役柄の若い頃を演じているのよね。


路子
路子
ユペールもいい味出してるのよね。

本当に!!
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
本当に『ピアニスト』に出てましたか?って思うくらい。

途中から綺麗に変身しますけど、ちょっといっちゃってるオールドミスな感じもすごく好きです。ネチネチネチネチ文句を言い続けているのに、どこかコミカルさを感じますよね。かといって、ピアノを弾いて歌うシーンでしっとりさを出したり。良い意味で化け物だと思いました。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
本当ね。女優は化け物じゃないと!
ドヌーヴなんてまさに化け物。豹変ぶりがすごい。

ドヌーヴの作品を色々観ていると、本当にそう思いますね。
りきマルソー
りきマルソー


路子
路子
『8人の女たち』でのドヌーヴの見どころは、ピエレット役のファニー・アルダンとのキスシーンかしら?

オゾン上手いですよね。上半身ではなく、足が絡むところを撮るって。いやらしいな、オゾン、上手いよなー。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
オゾンも、女性同士の絡み合いだから、きっと燃えるのよ(笑)。

もちろんキスしている顔を映すのもわかりやすくて良いですが、そこをあえて見せない。隠れた美というか。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
足のシーンを見て思ったのは、トリュフォーの作品。オマージュなのかしらって。

そうなんですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
トリュフォーは足フェチなのよ。どの作品でも、割と女性の足を映しているの。

たしかふたりともトリュフォーの映画に出演しているんですよね?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
うん、そうそう。


ファニー・アルダンが出演している作品って、そんなに日本で見かけないですよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
『永遠のマリア・カラス』で主演を務めていたわね。

そうですね。そのイメージが強いです。彼女のまなざしも好きです。ちょっと低めの声も。マリア・カラスはとても良かった。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
他の女優さんは有名? シュゾン役の子とか。

シュゾンはヴィルジニー・ルドワイヤンですね。ハリウッド映画にも出演している女優さんです。『ザ・ビーチ』という作品で、レオナルド・ディカプリオと共演しています。
りきマルソー
りきマルソー


路子
路子
マダム・シャネル役の人は?


マダム・シャネル役のフィルミーヌ・リシャールは、他で見たことはないですね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
存在感がちょっと薄かったわね。

まあ、あのメンバーの中だと(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
たしかに、それは過酷だったわ(笑)。


路子
路子
あとは、ルイーズ役のエマニュエル・べアール。

きちっとしたメイドの被り物の時も、外した時も、綺麗でしたよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
べアールも化け物よ。彼女は『美しき諍い女』で有名になったわね。

彼女もハリウッド映画に出演してますよね。
りきマルソー
りきマルソー

(しばらく作品名を思い出せない様子をお楽しみください)
チャッチャッチャッチャ!っていう音楽の映画! チャララーチャララーチャララーララっていうやつです(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
私知ってる? 分からない!

『アイズ ワイド シャット』にも出演しています。ニコール・キッドマンの元旦那。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
トム・クルーズ?

の出演している有名なハリウッド映画はなんでしょうか?? こういうシーンがあるんです(空中から紐でぶらさがる様子を路子さんにやって見せる)。その映画の相手役として、べアールが出演していたんです。全然思い出せない…『ミッション:インポッシブル』だ!!
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そんなシーンあったっけ?(笑)。
今彼女は何歳ぐらい?

1965年生まれ。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
私と同じくらいだわ。(インスタの写真を出しながら)今こんな感じなのね。

私、べアールのインスタをフォローしてます。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
ノーメイクかしら?

インスタの写真は、ノーメイクが多いかもしれません。
りきマルソー
りきマルソー


マミー役はダニエル・ダリューですね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
『ロシュフォールの恋人たち』の双子のお母さん役だったわね。面影がある。かわいい。足が悪いはずなのに、いきなり立ち上がって歩きはじめるおばあちゃん。あれは、笑ったわ。

ダニエル・ダリューがラストシーンで歌う『幸せな愛はない(Il n’y a pas d’amour heureux)』は名シーンですね。大好きなんです。
りきマルソー
りきマルソー


路子
路子
実際には1人死んでいるけれど、ラストシーンを見ると大団円な感じなのよね。

路子さんは、この曲の元になっている詩についてブログで書いていますよね?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
ルイ・アラゴンの詩ね。お友達が教えてくれたの。

ブログを読んで、この歌が元々は詩ということを初めて知ったんです。映画の歌詞は少し短めかもしれません。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
私は詩の後半部分が胸にささったの。

ギター云々のところですかね?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そう。



生きる道を知ったとき、そのときにはもう手おくれだから
わたしたちの心は 夜のなかで声をそろえて泣くのだ
小さな歌ひとつつくるためにさえ 不幸が要るのだと
ひとつの旋律をあがなうためにも悔恨が要るのだと
ギターの一節(ひとふし)のためにも すすり泣きが要るのだと
幸せな愛はどこにもない
苦しみのないような愛はどこにもない
ひとの力を奪いとらないような愛はどこにもない

路子
路子
これを教えてくれたお友達が、「「幸せな愛はない」、つきささる言葉ですが、でも愛がないのではなく、愛はあるってことなんですよね。」って言ったの。「幸せな愛」はどこにもないけれど、でも「愛」はある。
そういうのも含めて、この曲をラストに持ってくるのはすごいなと思う。

路子
路子
見どころはやっぱりラストシーン?

もちろんそうですが…初めて観た時は、オーギュスティーヌがピアノを弾きながら唄った後に、手の動きで感情を表現するシーンに感動しました。歌の終わりにポロっと涙を流すんですよね。強がっていた人物が自分の弱い部分を見せるのに、セリフではなく、歌と手で表現するというのは、セリフ以上のものを感じさせるし、想像を膨らませますね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
自身の弱さについては、それ以外で説明はしていないものね。

そうですね。
女優たちが唄う歌は、この映画のために作られたものではなく、昔の流行歌などが選ばれていますが、どの歌も映画のシーンにとても合っているんですよね。オゾンは本当に映画の中での音楽の使い方が上手い。グザヴィエ・ドランも上手いですよね。
惹きつけるだけではなく、イマジネーションを働かせてくれる。『ロシュフォールの恋人たち』とかではそういう風に感じないんですよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
『ロシュフォールの恋人たち』や『シェルブールの雨傘』は、その映画のために楽曲が作られているからかしら。
すでに世に出ている楽曲を使うのは難しいわよね。フランスの歌だから日本人の私たちに馴染みがないだけで、日本で考えたら、椎名林檎やミスチル、キャンディーズの曲が使われているようなものよ?

ちょっとダサいですね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうそう。でもそれをやっているし、評価をされているということは、日本以外でも評価されるようなセンスの良いチョイスをしているとしか考えられない。日本で考えるとやっぱり難しいと思う。別れのシーンで『ルビーの指輪』を持ってくるようなものよ。

うわっ、ダサいですね。すっごいダサい(笑)。あっはっはー!!
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そういうのを一本間違えると、本当に危ない。それか、どう思われても俺はこれが好きだという気持ちがないと、使えないと思う。

なんで日本で置き換えると、ダサく感じてしまうんですかね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
私が邦画をあまり観ないのはそこなの。感動しないわけではないのだけれど、日本語で聞いたり、昔のものを描写したりされていると、ダサいと思ってしまう部分がある。

日本では表現できないようなヨーロッパ特有の雰囲気ってありますよね。
私、ソフィア・ローレンの『ひまわり』を観たときにそう思ったんです。映画で流れる空気感、映像、出演者、どれをとっても邦画で表現するのはきっと無理なんですよね。ヨーロッパだからこそ許されるものってあるじゃないですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
あるある。でも、もしかしたら、自分が所属している国かどうかだけなのかもしれないわね。

じゃあ、フランス人だったら、違う風に思うんですかね?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
違うと思う。

フランス人はオゾンがこういう歌の使い方をしているのに対して、どう思っているんですかね?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
ここにこれを持ってきたのはさすがだな!と、思う人もいるし…。

映画館で外国映画を観ている時って、日本人と外国人だと笑うところが違う時がありますよね。だからもしかしたら笑っているかもしれないですね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうそう。それか、それをあえてギャグで使っている、という見方もあるわね。

撮っている国、観ている観客の国籍で、大きく左右されるんですね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
同じ国のものだと、あまりにも近すぎて、反応しすぎてしまうのかもしれない。

恋愛と一緒で、分かっているものよりも、違うテイストのものを入れたい。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうそう、そうなのよね。全然知らない文化のものを見たいの。




~今回の映画~
『8人の女たち』 2002年1月 フランス
監督:フランソワ・オゾン
出演:ダニエル・ダリュー/カトリーヌ・ドヌーヴ/イザベル・ユペール/エマニュエル・べアール/ファニー・アルダン/ヴィルジニー・ルドワイヤン/リュディヴィーヌ・サニエ/フィルミーヌ・リシャール

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間