☆33本目『ヘルバスター 避暑地の異常な夜』
2020/02/06
【あらすじ】
ポール(ジャン=ルイ・トランティニャン)は妻と娘を連れて、バカンスへ向かう途中。
しかし、道中で暴走族に襲われ、妻と娘を失ってしまいます。
復讐のため、妻の妹サラ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と共に、犯人探しを始めますが…。
路子
あまりにも分からず、いろんな映画サイトをネットサーフィングしてしまったわ。他の人がどういう風にこの映画を見ているんだろうと思ってね。
カーチェイスのカッコよさが売りなんですか?
りきマルソー
路子
そうね。1970年代はアメリカやフランスで性の解放が始まり、その空気感の中で、一方では暴力などもあった。行き過ぎた解放…乱痴気騒ぎ的なものも織り込んでいるらしい。B級映画として楽しむのが正解らしいわよ。
あっはっは!(笑)。
りきマルソー
路子
みんな、最高のB級映画で笑えると言ってる。
まあ笑いどころはたくさんありますね。
りきマルソー
路子
そう。B級映画として笑っちゃえば良いの。こういうのにも出演するドヌーヴってすごい…と、自分の中ではまとめてしまったわ。
路子
ポール役の男の人って誰だっけ? 有名な俳優さんなのよね?
ジャン=ルイ・トランティニャンです。ハネケ監督の『ハッピーエンド』や『愛、アムール』のおじいちゃんの人です。
りきマルソー
路子
あの人がそうなの?? ずいぶん年取ったわねぇ。彼とドヌーヴの共演が話題になったんでしょう?
フランスなどでは、割と有名な俳優で、当時活躍していたのかもしれませんね。
りきマルソー
ドヌーヴは結構自由な役柄でしたね。
りきマルソー
路子
トリュフォーの『暗くなるまでこの恋を』も破滅型の女性だけれど、人物造形がちゃんとされている。でもこの作品は、豹変ぶりが激しいのよね。
B級映画だから、意味を考えずに観ろと言われても、どうしても考えちゃうわね。とにかくツッコミどころが満載すぎる。
B級映画だから、意味を考えずに観ろと言われても、どうしても考えちゃうわね。とにかくツッコミどころが満載すぎる。
そういうシーン、たくさんありましたね(笑)。
りきマルソー
路子
暴走族が意味もなくブンブン走って、その挑発に乗ってガンガンやったりね。娘と妻が一緒に乗っているのに、そんな危険なことをする、というのがまずありえない!
窓閉めればいいじゃん!って言いたくなりますよね(笑)。
りきマルソー
路子
そうなの! 妻と子、ふたりともいけ好かない感じだし。
たしかに。
りきマルソー
路子
自分が暴行受けて、目が覚めた時、すぐに道路に出るでしょう? 最初に妻と子どもの無事を確かめないの?って思ってしまった。しかも、ふたりが死んでいるのを見ても、そんなに嘆いたりはしていないのよね。
呆然とはしていましたが、割とすぐに…。
りきマルソー
路子
反抗的な態度を取るのよね。
ちょっとキレやすいんですよね。
りきマルソー
路子
切り替えが早過ぎるわ。割と早い段階で妻の妹 サラを誘い始めるのよね。いくら酔ったからと言って、やだぁこの人って思って…。
わははは(笑)。
りきマルソー
路子
この人やだぁ、と、思っていたら、今度はサラが豹変。
ひとつのシーンで展開が全部起こるんですよね。
りきマルソー
路子
混乱しまくりよ。
最初はちょっと嫌がっていたのに、すぐに良いわよって軽い感じ応じるんですよね。
りきマルソー
路子
良いわよどころか、最後はポールに迫っていたわよね。
逆転してましたね。
りきマルソー
路子
オチ的には…。
何でも録音しているレストランの店員が犯人だったんですよね?
りきマルソー
路子
そう。暴走族のバイクに乗っていた女性が、上半身裸で助けを求めているのを見て、自分がポールの奥さんと子どもを殺したことをフラッシュバックしてしまった。自分がやったことと同じシチュエーションにより、記憶が蘇り、混乱しちゃったのよね。もう一回見直してやっと理解したのよ。
(笑)。
りきマルソー
路子
こんなにB級映画なのに、オチが分からなかったなんて、私にとって忘れられない映画になったわ。とんでもない映画よ。でもドヌーヴはとても綺麗!
奔放…とはちょっと違うんですよね。
りきマルソー
路子
ちょっとおバカな感じかしら。
解放し過ぎちゃったのかしら?
りきマルソー
路子
抑圧していたものが出ちゃった!みたいな。
カーチェイスと暴力って、男の人が好きそうですよね。テーマとしては、愛と暴力的な感じですか?
りきマルソー
路子
欲望と暴力とかね。結局は変質者の仕業だった、というおはなし。
アメリカっぽい映画でしたね。
りきマルソー
~今回の映画~
『ヘルバスター 避暑地の異常な夜』 1975年4月 フランス・イタリア
監督:ジェラール・ピレス
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン/カトリーヌ・ドヌーヴ/クロード・ブラッスール/レオノーラ・ファニ/ダニエル・オートゥイユ