☆31本目『リスボン特急』
2020/02/06
【あらすじ】
強盗団が銀行を襲撃し、大金を強奪している頃、刑事のコールマン(アラン・ドロン)はリスボン行きの特急列車で麻薬の密輸行われるとの情報を手に入れ…。
カティ(カトリーヌ・ドヌーヴ)には旦那がいるけれど、前からコールマン(アラン・ドロン)とは関係を持っていて、秘密裏に会っていた。
りきマルソー
路子
カティの旦那さんとコールマンは親友なのよね。
カティの旦那は犯罪組織のボス、コールマンはカティとの関係があるので、お互いに親友を裏切っていた、ということですね。
りきマルソー
路子
そう、お互いに。その上でコールマンはラストでその親友を殺してしまう。そして最後は、ハードボイルド的な男の哀愁みたいに、アラン・ドロンのアップで終わる。
アラン・ドロンがドヌーヴを見つめるシーンが良かったですが、そこもラストのシーンですよね。
りきマルソー
路子
働いていた銀行をクビになってしまい、そのことを奥さんに話せずに、しかたなく強盗の協力をしていた男の人がいたでしょう?
自殺しちゃう人。
りきマルソー
路子
そうそう。あの人が出てくる度にかわいそうで。奥さんが心配している部分が、妙にクローズアップされていたじゃない? 出番としては、ドヌーヴと同じくらいあったわよね。
むしろ、その人の方がていねいに描かれていたような気がします。だからやっぱり、犯罪組織と刑事の話、という感じですね。
りきマルソー
路子
恋の場面はそんなに描かれていなかったわね。
そうなんですよね。ヘリコプターのシーンは凄くていねいに描かれていたのに。
りきマルソー
路子
あのあたりが持ち味なのかしら。最初の銀行強盗のシーンも長かったわね。
男性って、ああいうの好きなんですかね?
りきマルソー
路子
うん、好きなんだと思う。
男のロマン的な感じなんですか?
りきマルソー
路子
言葉少なく、視線で語るみたいなのが、かっこいいと思うんじゃないかしら。
コールマンに対して、一方的な哀しい恋をしているゲイボーイみたいなものは描かれていましたね。
りきマルソー
路子
えっ!? どこどこ?
コールマンの車にいつも乗り込んでくる情報屋の女性がいるじゃないですか?
りきマルソー
路子
あの人ってやっぱりそうなんだ。
私、最初見た時に、女装しているのかな?とは思っていたの。顔の作りがいかにも男の人が女装してます、という顔だったし。でも途中からこういう顔の人なんだって思い始めたのだけれど…。最後に「男娼として」というやりとりがあったものね。ホモセクシュアルがいけないからってこと?
私、最初見た時に、女装しているのかな?とは思っていたの。顔の作りがいかにも男の人が女装してます、という顔だったし。でも途中からこういう顔の人なんだって思い始めたのだけれど…。最後に「男娼として」というやりとりがあったものね。ホモセクシュアルがいけないからってこと?
売春行為がいけなかったんじゃないんですか?
りきマルソー
路子
でも女性の売春という風にしないで、男の売春として、というような言い方をしていたでしょう?
青線地帯みたいな路地で売春をやっていたから、罰則を受けていたんじゃないんですか?
りきマルソー
路子
男娼としてしょっぴくと言われた時、何でそういう言い方をされているんだろうと考えたの。法律の問題があるからかな?って。当時は、法律的に男の売春は女の売春よりも厳しかったのかなって思ったの。あの人の役割は?
情報提供者(笑)。
りきマルソー
路子
そうなんだけど(笑)。
罪を軽くするために、警察に協力しろということですよね? 闇社会の動くようなところで売春をしていたから、情報も入るだろうと。
りきマルソー
路子
そういうところで働いていると、闇社会と繋がる、というのはよく聞くものね。
路子
メルヴィル監督の遺作として観ているファンが多くて、最初の銀行強盗のシーンが素晴らしいとか、電車のシーンで模型を使って撮影されているとか、色々な情報はあったけれど、割と素晴らしいという評価が多かったのよね。会話が少なくて、目線で語らせる感じだったわね。
そうでしたね。
りきマルソー
路子
ドヌーヴの出演シーンは、添え物程度だったわね。
注射器を使って殺害するシーンの複雑な表情だったり、ラストのドヌーヴとアラン・ドロンのシーンは良かったので、短いシーンの中でも印象的でした。綺麗。
りきマルソー
路子
うん、凄く。看護師さんの衣装とかが好きな人にはたまらないわね(笑)。
ドヌーヴはメルヴィル監督と仕事がしたくて、この作品の出演を決めたのかしら? あまりインタビューで語ることもないみたいで、出てこないのよね。
ドヌーヴはメルヴィル監督と仕事がしたくて、この作品の出演を決めたのかしら? あまりインタビューで語ることもないみたいで、出てこないのよね。
アラン・ドロンと何か関係があった、というのもなかったんですか?
りきマルソー
路子
騒がれてもいない。
うちの母はアラン・ドロンが好きだったみたいで、昔、映画館によく観に行っていたみたいです。
りきマルソー
路子
アラン・ドロンって 私はそんなにタイプではないけれど、かっこいい俳優として有名よね。
綺麗な顔立ちをしていますよね。
りきマルソー
路子
彼もドヌーヴと同じくらい、多くの作品に出演しているものね。まつげがやたらと長くて濃いという、どうでもいいことばかり見ちゃったわ。
私は彼の裸をネット検索して、研究しました。
りきマルソー
路子
どうだった?
そこそこ良いモノをお持ちでした。
りきマルソー
路子
(笑)。
アラン・ドロンというと、ヴィスコンティ監督の『山猫』が有名よね。あの作品の中では、たしかに美男子に描かれている。
そういえば、塩野七生がアラン・ドロンについて書いてたの。
彼は庶民の出身らしいのだけれど、どうしても上品になりきれない部分が見えるって。決してテーブルマナーが間違っている訳ではないのだけれど、逆にきっちりしすぎて不自然だって。だから上流階級の役は…。
アラン・ドロンというと、ヴィスコンティ監督の『山猫』が有名よね。あの作品の中では、たしかに美男子に描かれている。
そういえば、塩野七生がアラン・ドロンについて書いてたの。
彼は庶民の出身らしいのだけれど、どうしても上品になりきれない部分が見えるって。決してテーブルマナーが間違っている訳ではないのだけれど、逆にきっちりしすぎて不自然だって。だから上流階級の役は…。
ちょっと合わないってことですかね。
りきマルソー
~今回の映画~
『リスボン特急』 1972年10月 フランス
監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:アラン・ドロン/カトリーヌ・ドヌーヴ/リチャード・クレンナ/リカルド・クッチョーラ/マイケル・コンラッド