ゆかいな仲間たち よいこの映画時間

☆52本目『バッド・シード』

2020/02/06


【あらすじ】

義母のモニーク(カトリーヌ・ドヌーヴ)と共に、詐欺をしながら生活をするワエル(ケイロン)。
ある日計画した詐欺行動がきっかけで、ワエルは問題児を教える立場になり…。

路子
路子
この映画の一番の見どころは、モニークとワエルが着飾って登場するシーンね!

サンバの衣装みたいでしたね(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
あれドヌーヴよくやったな、という感じで笑いを取ってるわね。今までにない魅力が詰まってるわ。

私、この作品割と好きです。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
私も。


コメディ要素だけではなく、国が抱える問題や戦争についてもワエルという人物を通して語られていましたね。モニークも、なぜ彼と一緒に生活をしているか、というのが次第に分かっていくのが面白かったです。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
その描き方が秀逸だったわよね。

上手かったです。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
現実の中の回想シーンとして、短いシーンが入れられているだけなのに、全部分かるものね。短いシーンだからこそ、重たくなり過ぎない。
ワエルは厳しい過去を過ごしてきたけれど、モニークがシスターを辞めて彼を引き取って育てたのよね。それなのに、ふたりで詐欺師として生活しているあたりがとてもおかしかった。
血の繋がりは無いのに、とても仲良く暮らしているふたりの関係も、とても良かったわよね。

モニークがワエルの小さい頃に言った「あなたを絶対、ずっと愛するから」という約束をずっと守っているんですもんね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうよ。詐欺をやりながらではあるけれどね(笑)。
ラストは大円団でハッピーエンドっぽく終わるけれど、そんな裏工作をしているとは思っていなかったから、本当に偽札を渡しているのかと思っていたの。

そうそうそう!
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
思いっきり騙されてしまったわ(笑)。

学校に来ている問題児とされている子ども達も、良い子ばかりなんですよね。お金を貰いつつ、仲間同士がこういう問題を抱えている、ということをワエルに話してる。だからこそワエルは裏工作をして、悪人を捕まえることが出来た。彼らも問題児と言われながらも、人間味あふれる部分がたくさん描かれていましたね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
もちろん、過去のシーンでは沢山でてきたけれど、現代のシーンでは本当に悪い人はひとりしか出てこなかったものね。

うんうん、あの悪者刑事。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
あとはみんな善き人だった。

モニークも、面接に来た人を脅して追い返したりしてますけど、ワエルが働ける場所を与えたかっただけですもんね。
りきマルソー
りきマルソー


路子
路子
うん。あのドヌーヴの演じ方、とても好きだった。

可愛らしいですよね。いつも見るような可愛らしさではなく、心がほっこりする感じ。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうなの。本当に人情味あふれるおっかさん、という感じ。

(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
しかも無理をして演じている、という感じでは無かった。


路子
路子
シワを伸ばすためにテープを貼ったり、歳のことを話したり。

冗談みたいに話すんですよね。しかもそれを本気で嫌がっているという感じではなく、笑いで全ておさまってる。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
こういう役を引き受けるということは、きっと彼女の中で何かが抜けた感があるからなのよね。だって昔は、ああいうシーンを嫌がっていたと思うもの。

実生活で今までに散々言われたかのようなセリフでしたよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
「老女だろ」とかね。年齢や外見、まだまだいけるもん!という精神のギャップを笑えるようになってきている、というのが出てて、面白く観られた。ああいう風な役の方が、今後魅力的だと思う。

そうですね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
体型もあるし。

たしかに。もちろん綺麗な役柄もありだとは思いますけどね。『ルージュの手紙』や『ミス・ブルターニュの恋』も、この作品に近い人物じゃないですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
その2作品では、まだ他の人とは違う女性というものを維持しているような気がする。女であり続けることや、歳を取っても魅力的というようなことをね。でも『バッド・シード』にはそういうものが全然無い。この役をドヌーヴにやらせた監督は、本当にすごいわ。他にも撮っている監督なのかしら?


『バッド・シード』の監督って、ワエルを演じているケイロンという方なんですって。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうなの?? 彼が監督で主演なのね。

本業はコメディアンなんですって。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
独特な風貌の持ち主よね。

うんうん。
りきマルソー
りきマルソー

ケイロン
1982年フランス生まれ
幼い頃から文章を書くのが好きだったケイロンは12歳の時にラップや詩を書き始め、やがて、スタンダップ・コメディの道に進むようになった。

と、あります。これの1個前に『スリー・オブ・アス』という映画を撮っているみたいで、東京国際映画祭で上映されたみたいです。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
若いわね。ドヌーヴは若い監督と組むのが好きだから。このふたり、よっぽどウマが合っていると思わない?

合っていますよね。「監督だけの人よりも、俳優もやっている人の方が説得性がある」ってドヌーヴ言ってなかったでしたっけ?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
『ヴァンドーム広場』の二コール・ガルシアの話をしている時に言ってたわね。演じる側の立場を分かっている人の言葉は、割と素直に聞けるみたい。

そういうのもあったのかもしれないですね。
りきマルソー
りきマルソー


路子
路子
一番最初に、ヴィクトル・ユゴーの「雑草などない」という言葉が出てきてから書き留めたの。私、この言葉を調べたの。「無能なのは農夫」という続きがあるんですって。

育て方次第ということですか?
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
環境が悪いと、悪いものが生まれる、というようなことを言っているの。
昔、軽井沢に住んでいた頃、お庭にいっぱい草が出ていたのを見た隣のおばあちゃんに「雑草を抜いておいた方がいいわよ」って言われたの。でも庭を見渡す限り、どれも綺麗な緑だったから、どれが雑草だか分からなかった。

路子
路子
例えば、育てたい花があったとして、それを邪魔するものがあるとしたら、それはその人にとっての「雑草」だけれども、私みたいにお花も緑も綺麗だな、と思っている人にとっては「雑草」とは思わない。
その時に「雑草」というものの定義をすごく考えたことを思い出したの。だから映画の最初にこの言葉が出てきた時、「あぁ、私と同じことを言ってる。ヴィクトル・ユゴーったら」って思って調べたら、意味が全然違ったの。

(笑)。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
がっかりしたわ。私はその言葉を最初に見て、そんなことを思い出しながら観たから、なるほどねって思ったの。その後に調べたら、さっき話したみたいなことが出てきたから、ああ、そういう目で見ればそういう映画になるわねって、見方が少し変わったの。でも、雑草についてのブログ記事を書きたいと思っていたから、そういう意味ではテーマ的にも面白かった。
映画の本筋とは違うけれど、ああいう風に映画の最初に出てくるような一文、エピグラフは、それほど作品のイメージを決定づけてしまうものなのね。小説にしても、エピグラフを書く人と書かない人がいるけれど、私は書くのが好きなの。今度から本当に本当に吟味して入れることにするわ。

路子
路子
ふたりでキッチンに座って野菜を切るシーンがあったでしょう? 私、あのシーンが好きなの。ドヌーヴもノルマンディに別荘を持っていて、そこで自然を感じながらガーデニングを楽しんだり、料理をしたりしているみたいなのだけれど、こういう感じなのかな?と、思いながら見ていたの。

「子供たちによく料理を作っている」とインタビューで話していますよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
手つきを見ていたら、やっぱりちゃんと料理をする人なんだな、と思って。あのあたりも人情味あふれていたのよね。

人間らしさをすごく感じますよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
そうなのよ。温もりを感じる。

今までは女優という生き物として見ていましたけど、本当は人間なんだって思えました。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
それこそ「氷のような」というものが感じられないのよね。

『大草原の小さな家』とか観ちゃってますもんね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
それでふたりで泣いているんだものね。あのシーンも大好き。可愛い。

路子
路子
本当にキュートなドヌーヴが見られる映画ね。今までで一番可愛らしく、微笑ましい。そんな映画、他にないものね。

フランスのコメディ、やっぱり面白いですね。日本ではあまり公開されないですし、話題にもなりませんが、フランス映画祭とかで観たりすると、毒っぽさがあって良いんですよね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
シニカルな感じで、分かりやすいコメディではないのよね。

そうそう。もっと日本でも広まれば良いのにと、いつも思うんですけどね。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
日本では分かりにくいのよ。

分かりにくかったですか? フランス映画にしてはハッピーエンドだし、分かりやすいと思いましたけど。
りきマルソー
りきマルソー

路子
路子
まあこれはコメディというより、人間ドラマだもの。

そうかぁ。まあケイロンがコメディ出身の人だから、コメディ要素を混ぜるのが上手かった、ということなんですね。でも描きたいことはちゃんと描かれている。こういう色々な要素が混じった映画は、どこかしらに偏り過ぎてしまうと失敗しがちですが、そういった意味でも、とてもバランスのとれた作品だったと思います。
りきマルソー
りきマルソー





~今回の映画~
『バッド・シード』 2018年11月 フランス・ベルギー
監督:ケイロン
出演:ケイロン/カトリーヌ・ドヌーヴ/アンドレ・デュソリエ

-ゆかいな仲間たち, よいこの映画時間