路子先生との時間

タンゴと結婚したひと、マリア・ニエベス

2017/02/21

路子先生に「ぜひっ!!見てね!」とおすすめしてもらった『ラスト・タンゴ』をようやく鑑賞@Bunkamura ル・シネマ。

あーん、いいっ!よかった。  リズム感ゼロのわたしですら、思わず身体を揺すってしまう小気味よいリズムと情熱的で物哀しいタンゴの調べに、心臓がどくどくした。

映画は、伝説のタンゴカップル、マリア・ニエベスとフアン・カルロス・コペスのタンゴ人生を追ったドキュメンタリー。映画のなかには本人自ら登場する。

フアンは83歳、マリアは80歳。なかなかの御年だが、ふたりとも背筋は伸び若々しくとても80代には見えない。なにより現役で踊っているのだからすごい。みじかい髪を赤く染めハイヒールをはき踊るマリア・ニエベスの姿は、「おばあちゃん」ではなく「女」の姿だ。 ただ、ハイヒールを脱ぎ誰もいない部屋でお湯をわかすマリアには、孤独の影がつきまとう。  「わたしはアーティストになんてなるつもりはなかった。子どもを産んで、ふつうの家庭がほしかったのに、全然違う人生になっちゃったわ」(メモをとってないので、ニュアンスだけ)と語るマリア。自由と成功をつかんだひとの、影の部分。マリアを見てると、偶然からクーチュールをはじめ、その結果、仕事のためにすべてを、恋をも犠牲にしたシャネルの人生を思い出した。  かたやフアンは……。「これって、男女の違い?不公平だよなあ…」と心のなかで毒づいたが、フランス人なら肩をすくめて「セ・ラヴィ(これが人生)」というのだろうか。

 

そもそもなにが二人を伝説たらしめているかって、まずは50年間もペアをくみ踊り続けたことだろう。 半世紀も一緒に踊っていれば、互いの関係も踊りかたも、時とともに変化する。 タンゴで結ばれた二人は、関係がうまくいかなくなり愛と憎しみの間で苦しんでも、タンゴに命を燃やす限り、離れられない。 唯一無二のペアということは、簡単にパートナーを変えることはできないということ。

長い月日が流れ、ついにふたりがペアを解消する最後の舞台、「ラスト・タンゴ」の地は、なんと日本。
「私はタンゴのために生まれ、タンゴのために死にます」公演後のスピーチでマリアが発したこの言葉に、目頭があつくなった。そこまでの情熱を注げるものに、どれだけの人が出逢えるだろう。

 

心のうちはどうあれ80歳をこえても輝き続ける二人の姿にまず勇気をもらい、それだけでみて良かった、と思えるのだが、さらにトップダンサーによる踊りと音楽が加わり、華麗なるタンゴの世界にひきこまれた85分間だった。

それからyoutubeでタンゴの動画をみたり、サントラを家で繰り返しきいている影響されやすい私である。

「ラスト・タンゴ」オリジナル・サウンドトラック

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