MODEな軽井沢 特別な物語

◆グレースから受けとったこと◆2009.7.27

2020/04/22

世の中はほんとに便利になりました。
調べ物が「こんなんでいいのでしょうか」と、なにやらやましさを覚えるほどに簡単になりました。
以前なら、図書館やら書店やらをぐるぐるまわって、ようやく得られた情報、あるいは書籍がインターネットで簡単に手に入ります。
そんなことを、あらためてつくづく感じたのは、ひょんなことから「ある人物」を調べることになり、ネット上の糸をたぐっていったら、2年前の女性誌に「ある人物」が掲載されている情報を発見、その女性誌は「GRACE グレース」、ただいま休刊中のようですが、バッグナンバーをアマゾンのユーズドで購入することができました。

このような流れがあり、冒頭の「世の中はほんとに便利になりました」となるわけです。

さて、「ある人物」は内緒ですが、2年前の7月号、ちょうど夏、というわけで、ある意味、とっても楽しめました。
ざっと眺めた感想は、
「レギンスがまだ世の中を支配していないこと以外、流行はそれほど変わっていない」
ということです。

それで、特集の一つにこんなのがありました。

「優雅スタイルで旅へ! ジャッキーのように、グレースのように――ジャッキー派&グレース派のコーディネート拝見」

ジャッキーとはジャクリーン・ケネディ・オナシス。グレースとはグレース・ケリーです。

なんて志の高い特集なのでしょう!

そしてこの特集は私に、ひとつの気づきを与えてくれたのです。
                                                             
例として、グレースをピックアップします。
「凛としたシャツ・スタイルがグレース・カジュアルの基本」
というキャプションとともに、マニッシュなストレートパンツ姿が美しいグレース・ケリーの写真。その他のグレースの美しい写真の数々。

そして、「グレースのトランク拝見」など、いろいろあって、
「グレース風。旅先コーディネート」
と続きます。

そして、私は知るのです。
「ファションじゃない、そのひと本人なんだ……」
という当たり前のことを、あらためて、知るのです。
これが気づきです。

これは、美容院で、モニカ・ベルッチや、イザベル・アジャーニの写真を見せて、「こんなふうにしてね」とオーダーし、仕上がりに愕然とするときの感覚とよく似ています。

ヘアスタイルがイメージと違うから愕然とするのではないのです。
オーダーした通りのヘアスタイルだからこそ愕然とするのです。
おんなじヘアスタイルなのに、モニカでもイザベルでもない、ふつうのひとが鏡に映っていることに、愕然とするのです。

                                                             
それでは、ジャッキーのように、グレースのように、はたまたモニカのように、イザベルのように……と彼女たちを研究し、彼女たちの真似をするのは愚かなのか。
いいえ、それは違います。

研究する視点を変えればよいのです。
真似する部分を変えればよいのです。

彼女たちがなぜ、そのヘアスタイルで、ファッションで美しく見えるのか。
どの部分が彼女たちの欠点をカバーし、美点を際立たせているのかを、知るのです。

そして、それを自分自身に活かすのです。
何度も失敗しながら、涙ぐましい努力を続けるのです。
それは人生のすべてではもちろんないけれど、彩りのひとつであることは確かです。

-MODEな軽井沢, 特別な物語