MODEな軽井沢 特別な物語

◆ポワレのドレスが欲しい◆2009.3.30

2020/04/22

花冷えの午後、目黒の「東京都庭園美術館」に出かけました。
「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」の展覧会が終了間近だったのです。

今回はポワレについて。フォルチュニィは次回、お届けします。

ポール・ポワレは「女性をコルセットから解放したデザイナー」として知られています。

ポワレが最初にコルセットを取り去ったのは、1906年10月でした。長女を出産したばかりの妻ドゥーニーズが洗礼式に臨んだときのドレス、それがポワレの革命の始まりだったのです。

「私がコルセットの追放をすすめたのは自由という名においてである」

「私は軽く、しなやかな生地で作った簡素なドレスが好きだ。それは動きにつれて、光と影を通しながら、まるで濃厚な液体のように、肩から足首まで、体の形をなぞる」

直線的なハイ・ウエストのドレス、ハーレム・パンツ、ランプシェードのスタイル、キモノ風コートなど、鮮やかな色彩、斬新な形の服を次々と生み出します。

ポワレは異国趣味がありました。
ロシア、ギリシア、北アフリカ、中近東、日本など、「非西洋」の衣装に触発されたのです。

さて。
庭園美術館のポワレ。
これはまったく、私個人の好みなのですが、感嘆の声をおさえるのが大変でした。
優雅なシルエット。美しいテキスタイル。

ポワレは女性を心から賛美できるタイプの男性だったに違いありません。
彼の服には、女性への憧れと、なにがなんでも美しくあってほしい、という願望があるように思います。

衣装そのものの他にも私の目を惹いたのは、イラストでした。

ポワレは才能あるアーティストを起用して、衣装カタログを作成するチャンスを与えています。
なかでもジョルジュ・ルパープのイラストは、色使いといい、線といい、これまた好みで、胸踊りました。

家に戻り、買ってきた展覧会カタログを広げて、娘と「このなかのドレス、どれでも一個あげるよ、って言われたらどれにする?」という、毎度の遊びに熱中しました。

娘が選んだのはこれ↓。

ハーレム・パンツとフープ入りのスカートを組み合わせたものです。おそらく仮装パーティー用に作られた「イヴニング・ドレス」でしょう。

私は迷ったあげくに、これを選びました↓。

マントのようなキモノのような「オペラ・コート」です。

***

「モードの帝王」と呼ばれたポワレですが、第一次世界大戦後の、機能性、合理性を追求する時代の要求とは相容れず、1929年には店を閉め、不遇の晩年を送りました。

ポワレの後(ポワレを葬ったともいえます)、モード界を率いたのが、かのガブリエル・シャネルです。

参:「ポワレとフォルチュニィ 20世紀モードを変えた男たち」展覧会カタログ

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