☆２７本目『反撥』

2019/09/08 2025/11/09

【あらすじ】
姉・ヘレン（イヴォンヌ・フルノー）と同居をしているキャロル（カトリーヌ・ドヌーヴ）。
ヘレンは恋人である妻子持ちの男・マイケル（イアン・ヘンドリー）を毎日寝泊まりさせ、毎晩のようにセックスをする。
夜な夜な聞こえてくるその音に、嫌悪感と好奇心を抱くキャロルは、現実と妄想が渦巻く中、次第に追い詰められ、精神状態が不安定になっていく。

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]監督のロマン・ポランスキーは、『シェルブールの雨傘』を観た時に、『反撥』の主人公はドヌーヴ以外に考えられないと思って、彼女にオファーしたの。ドヌーヴは今までに何本かの映画に出演していたけれど、そのオファーに対しては凄く乗り気で、初めて積極的に出演したいと決めた作品なんですって。女優としては『シェルブールの雨傘』で有名になったけれど、『反撥』は「カトリーヌ・ドヌーヴがショッキングな役柄を演じた最初の作品」と言われてる。ポランスキーの世界観や趣味、ドヌーヴをこう表現したいとか、監督自身が好きなものを自由に撮っている、という感じがしたわね。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]ドヌーヴには、『ロシュフォールの恋人たち』で共演した実の姉フランソーワーズ・ドルレアックがいるでしょう？
ふたりの間には複雑な愛憎の関係があって、この映画でも姉との確執のようなものが描かれているけれど…。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]そうそう。だからそういった事も出演の決め手になったのかもしれないわね。[/word_balloon]

[word_balloon id="1" position="R" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#000000"]最初はスローな映像が多くて、写真作品を観ているかのようなイメージがありました。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]彼女が唯一笑ったシーンは、チャップリンの『黄金狂時代』を観た友達が、彼の真似をする場面くらいよね。すぐに真顔になったけど。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]キャロルは、ヘレンの喘ぎ声が気になって、毎日ちゃんと眠れずにいる。そういった事も要因となって、どんどん追い詰められ、幻覚を見ながら発狂していくけれど、彼女には、神経質な部分や潔癖さ、エキセントリックな面という素質が元々あったのよね？[/word_balloon]

[word_balloon id="1" position="R" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#000000"]そうですね。幼い頃の家族写真の場面が出てきますが、一人だけそっぽを向いて、何を考えているか分からないような顔をしていますよね。幼い頃から何かしらの不安要素があったような気がします。実は数日前に、ポランスキー作品の『告白小説、その結末』という作品を観たんですが、それも女性がどんどん追い詰められていく話でした。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]いっちゃってる女…。今は精神状態にも病名が付けられている時代だけれども、『反撥』公開当時は病気という扱いでは無かったと思うの。でも、どんどん発狂していくドヌーヴの演技はさすがだった。[/word_balloon]

[word_balloon id="1" position="R" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#000000"]そういった部分に潔癖さが表れているんですね。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]キャロルはセックスに対しての欲望がとてもある人物。だから妄想や幻覚を見ているのね。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]嫌悪感の部分だと、恋人からキスをされた時、すぐに歯を磨くシーンがあったわね。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]最終的には、自分の彼も、家賃をタダにすると言って襲ってきた家主も殺してしまうけれど、彼女にとっては殺したいという感覚ではなく、自分に嫌な事をするものを排除する、って感覚の方が近いかもしれない。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]じゃがいもの芽が成長していったり、うさぎの肉が腐っていく様子で、時間の経過を上手く表現していたけれど…モノクロでありがとう！って感じの少し気持ちの悪い映像だったわ。ドラムロールの音とか、壁や道路に亀裂が入ったりと、効果的な場面が多かったわね。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]うん、きっとそうね。[/word_balloon]

[word_balloon id="1" position="R" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#000000"]この映画は全編モノクロの映像でしたが、モノクロって贅沢さを感じるんですよね。[/word_balloon]

[word_balloon id="1" position="R" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#000000"]今の時代はカラーが一般的ですけど、そのカラーが当たり前の世界で考えると、全てを白と黒の2色だけで表現するって、本当に凄い事だと思うんです。色の表現に制約がある中で、どれだけのものを表現して、どれだけのものを省いているんだろうって。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]『反撥』の1年前に公開された『シェルブールの雨傘』はとっても色彩にあふれているから、そのギャップが凄いわね。リアルタイムで『シェルブールの雨傘』を観て、ドヌーヴのファンになった人は、『反撥』を観て、どう思ったのかしら。[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]表現力の凄い女優だとは思ったわよね。『シェルブールの雨傘』とは全然違うから嫌だわ、って思った人もいるかもしれない。『反撥』の2年後に『ロシュフォールの恋人たち』と『昼顔』が公開されているけれど、どの作品も色の違う人物を演じているわね。[/word_balloon]

[word_balloon id="1" position="R" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#000000"]そうそう（笑）。
ビョークと一緒に工場で働く役をやったり（＊『ダンサー・イン・ザ・ダーク』）、本当に色々。私はドヌーヴを知ったのがフランソワ・オゾン監督の『8人の女たち』だったので、そういう綺麗な役しかやらない人なんだと思っていました。『反撥』は新たなドヌーヴ像を発見させてくれた映画だったな。あと、私、やっぱり揺るがないなって思ったのは、自分は若い女に興味が無いって事！[/word_balloon]

[word_balloon id="2" position="L" size="M" balloon="tail" name_position="under_avatar" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" bg_color="#dd3333"]そうね。クールビューティー的な感じは変わらない。[/word_balloon]

～今回の映画～
『反撥』 1965年6月イギリス
監督：ロマン・ポランスキー
出演：カトリーヌ・ドヌーヴ／イヴォンヌ・フルノー／ジョン・フレイザー／イアン・ヘンドリー

-ふたりの映画鑑賞記/よいこの映画時間

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