◆私のアナイス ブログ「言葉美術館」

◆自分の惨めさを書きなさい

2017/02/08

Photoやっぱり、どうしようもないときはアナイスしかいない。

発作が起きた患者がバッグのなかの薬を探すように、『インセスト』のなか、アナイスの言葉を探す。あわだたしく、息も切れ切れに。
激して、絶望して、馬鹿みたいに憂鬱になる自分が怖い。気が狂いそうな不安。タイプライターの前に座り、私は自分に言い聞かせた。弱虫、気ちがい女! 書くのよ。書きなさい。自分の惨めさを書くの。全部を吐き出すの。自分を窒息させているものを吐き出しなさい」
「私のなかの呪われた女が、枷をはめられながら、恋し、献身する女が、この狂気を引き起こしている」

「自由になりたい。ただ、芸術に関わるだけの、純粋な芸術家でありたい」

 

 
と、ここまで書いたとき、一通のメールが届く。
読んで、我慢していた涙があふれだす。
そこには、私を芸術家として見てくれているひとの、理解に満ちた言葉が並んでいる。
私よりもひとまわり以上も年下なのに、私は彼女の言葉に抱擁されて、だいじょうぶだいじょうぶ、と自分に言い聞かせる。
アナイスにとってのヒューゴーがいなくったって大丈夫、って、私を支えてくれているひとたちの顔をひとりひとり思い浮かべる。
すこしずつ、落ち着いてくる。
問題がくっきりと見えてくる。
すべては自分の卑怯な生き方が招いている。そして、2年前の春、ブログを削除したときの気持ちを忘れるな、と自分に言い聞かせる。
シューベルトの『死と処女』を聴いて、絵は、マーゴジャンタ・イエンタ『淑女の涙』。結婚のお祝いにいただいた大切な一枚。
かわりに泣いてもらって、仕事に戻る。
最終的には、私が決めることなのだから、すべて。

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