■「無限の網」 草間彌生■ 2008.4.4
2016/05/18
「一日ごとに早くなっていく加速度的な時間の中で、与えれた枠の内側で必死になってみてもたかが知れている、と考えることはおよそ空しく、無意味である(略)
人生は真実素晴らしいとつくづく思い、体が震えるほど、芸術の世界は尽きることなく興味があり、私にはこの世界しか希望のわく、生きがいのある場所は他にないのだ。
そして、そのために如何なる苦労をしても悔いはない。
私はそのようにこれまで生きてき、これからもそう生きてゆく」
日本の芸術家の実像にせまる、ニアイコール・シリーズで草間彌生のドキュメンタリー映画を観て、それがあまりにおもしろく(何度笑ったことか!)、草間彌生のすっかりファンになって、かぼちゃの携帯ストラップを記念に買っただけでなく、自伝も買った。
熱く激しい人生に圧倒された。
以前ならば、ブラボーブラボー、芸術家はこうでなくっちゃ。
と、手放しで喜んだのだろうが、今は、もちろんそういう気持もあるものの、
「しかし、これができるということは、ある意味、ある部分、かなり鈍感にならなければ無理だろう」
とも思う。
もちろんそのアンバランスさがすべて芸術家の魅力になるのだけど。
そしてなんだかこのところ、バランスよくできてしまっている(自己評価だが)自分自身の凡庸さに、本気で落ち込んだりしている。
四十をすぎると、自分自身が見えてきてしまって、でも、「もしかしたら」という幼い希望みたいなのも残っていて、すごくやっかい。