■「快楽は悪か」 植島啓司■
2016/05/18
「子どものころからの問題は全部、世界に順応して幸せに暮らすことが不可能なことが原因だ。
アウトサイダーの感覚だよ。
だれかがドラッグや酒に手を出すとしたら、それで少しは順応できるからだ。
だから誘惑に負けるんだ。
酒は壜入りのドラッグだ。
自分を落ち着かせてくれるものは何でも常習の危険がある。
セックス、食物、仕事、成功、何をとっても、それで安定できれば常用するようになり、依存して、人生が破滅することもある」
これは俳優のアンソニー・ホプキンズの言葉。
植島氏は次のように続ける。
「この短い言葉のなかには重要な真実が隠されている。
われわれは実際、何か大きな問題が起こらないと直視しようとしないが、意外と世界と順応するのに日々骨を折っているということ」
私だけではないんだ、と、自分に言い聞かせなければ、すこし息苦しい今日このごろ。
そして私にとっての「世界と順応するための『何か』」とは何か?
そんなことを考えていたら、以前に、ある人から、「あなたは、自分とはもっとも遠いところにあると思っているでしょうけれど、ワーカホリック(仕事中毒)です」と断言されたことを思い出した。
私にとっての「何か」とは、仕事なのかもしれない。
それにしても、「常識」というものに、疑問符を投げかけ続ける毎日を送っていると、周囲を見渡して、その居心地の悪さに愕然とする。