■他人ができる仕事を……■
2016/06/11
ひろさちやの、「狂いのすすめ」という本を読んだ。
私より30歳年上の方。
仏教を中心に宗教をわかりやすく説き、たくさんの御著書がある。
わかりやすい言葉で、生きる、という根本的なテーマについて語っている。今回の読書で私の心に響いたのは、この言葉。
「明日できる仕事を今日するな。他人ができる仕事を自分がするな」
ローマのことわざなんですって。
明日できる云々、はそれほど興味がないんだけど、「他人ができる仕事を自分がするな」は深く考えれば、かなり遊べるテーマだと思う。
私は他の人のほうが上手に書けるだろうな、というテーマではものを書かない。
これは私ではないとだめ、他の人が書いたら絶対つまんなくなるから、早く書いて出版しないと! とまで思えるものを選んでいる。
もちろん思い込み、自己評価高すぎ、というのは承知の上だ。
そこまでずうずうしく思えたとき、ようやく最初の一行が書ける。
他の仕事でも同じだと思う。
たとえば、掃除だって、「だれがやっても同じ」ようなやり方でやるのか、自分にしかできないやり方でするのか、そういうことだと思う。
そう考えると、いっけん、すごく楽に生きられそうなことわざなんだけど、
「あなたにしかできないことをしなさい」
ともとれて、そうすると、私の好きな世界にひろがっていく。
先日昔のノートを読み返していたら、次のような引用をみつけた。
誰の言葉だろう! 昔は出典を記す習慣がなかったから、ああ、悔やまれる。とにかく書き出してみる。
***
あなたには才能を活かす義務がある。
あなたは文士である。
文士は書く義務がある。
自分ひとりが書いていくのでいいというだけじゃない。
世に出し、化学反応をおこす義務がある。
書くことに才能あるものが書くことを真剣にやらなければいったい誰が思いを伝えていくのか?
才能がないものは、才能に嫉妬する。
バッシングもある。
文士はどんな評判があろうとも書き続けなければならない。
***
はい。どんなにひどいこと言われたって、書き続けなければならない。
だって、私には書くことしかないんだもの。それとっちゃったら、なんにもなくなっちゃう。
大好きな目黒川の桜並木、葉の色が濃く濡れた緑になってきた。ちょっと疲れていても、歩きたいと思わせる、妖しいエナジーをもっている。