ブログ「言葉美術館」

■■自分で守ればかものよ■■

2017/01/27

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先日、自分をけとばしたくなる、と書いたあと書店に寄って、茨木のり子の詩集を買った。

自分の本棚を探したけれど、なぜか見つからなかったから。どうしても読みたくて。有名すぎる詩ですが、ご紹介。

***

「自分の感受性くらい」

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを

近親のせいにはするな

なにもかも下手だったのはわたくし

 

初心消えかかるのを

暮らしのせいにはするな

そもそもが ひよわな志にすぎなかった

 

駄目なことの一切を

時代のせいにはするな

わずかに光る尊厳の放棄

 

自分の感受性くらい

自分で守れ

ばかものよ

***

この本の帯には「自分を叱る」という文字が。

まったく。

「逃げなさい」と帯にある逃避の本を出版してみたり、自分を叱ってみたくなったり、忙しいな人生は。

けれど、この詩を何度も何度も口にしていたら、「相手の行動のほとんどは自分自身の鏡」という信条を、すこし取り戻せたような気がした。そうしたら大切なものの姿の輪郭が、すこしだけくっきりとしてきたみたい。

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