言葉美術館

■■自分で守ればかものよ■■

2026/01/10

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 先日、自分をけとばしたくなる、と書いたあと書店に寄って、茨木のり子の詩集を買った。自分の本棚を探したけれど、なぜか見つからなかったから。どうしても読みたくて。有名すぎる詩ですが、ご紹介。

***

「自分の感受性くらい」

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはする
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

***

 この本の帯には「自分を叱る」という文字が。
まったく。
「逃げなさい」と帯にある逃避の本を出版してみたり、自分を叱ってみたくなったり、忙しいな人生は。
 けれど、この詩を何度も口にしていたら、「相手の行動のほとんどは自分自身の鏡」という心情を、すこし取り戻せたような気がした。そうしたら大切なものの姿の輪郭が、すこしだけくっきりとしてきたみたい。

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