ふたりの映画鑑賞記/よいこの映画時間

◎63本目『こわれゆく世界の中で』

2026/03/06

【あらすじ】
ロンドンの都市計画の仕事をしているウィル(ジュード・ロウ)は、恋人のリヴ(ロビン・ライト)と彼女の娘と生活を共にしているが、ふたりの間には少し距離が生まれていた。
ある日、オフィスに窃盗団が入ったことがきっかけで、アミラ(ジュリエット・ビノシュ)と出会い…。




♥M
観終わった後にモヤモヤしてしまったので、話したい(笑)。
自分なりに噛み砕いた上で、意見がある感じ。

ビノシュが出演している作品だけれども、タイトルで戦争の話だと思っていたから、ずっと観ていなかったの。
ビノシュがいつ登場するのかと楽しみにしていたのだけれど…主演ではなかったね。

♣R
映画のポスターでは、ビノシュが主役みたいに見えましたよね。
もう少し、サラエボの話が突っ込んで描かれていたら、ビノシュが演じていたアミラのバックボーンにも深みが出ていたと思います。
例えば、アミラがサラエボに旦那を置いて逃げたのは、旦那の浮気も理由のひとつでしたが、そういったことが、ちょっとしたセリフでは語られるけれど、深くは突っ込まれなかったですね。

♥M
ビノシュはこの役をやるために、わざわざサラエボまで行って、取材をしているのに…。

♣R
それを活かせていないですよね。

♥M
ビノシュよりもロビン・ライトの印象の方が強かった。
私は、ビノシュも好きだけれど、ジュード・ロウやロビン・ライトも好き。
特にロビン・ライトの出演作は『50歳の恋愛白書』や『美しい絵の崩壊』も観ているし、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』という連続ドラマも、彼女目当てで観ていたの。

ジュード・ロウが演じたウィルの役柄は、少し軽かったよね。

♣R
ストーリーを通して、軽薄な男でしたよね。

♥M
社会的には成功していても、中身はいちばん子どもだった。 

■檻のように思う


♥M
ウィルとリヴの神経症的なカップルの関係を面白いと思いながら観ていたの。
娘のビーはずっとふたりの娘だと思っていたけれど、リヴの連れ子だったのね。

♣R
自分もふたりの娘だと思っていました。
結婚していないけれど、子どもはいるみたいな感じなのかと。
ウィルは、リヴとビーの親子関係の中に入り込めないのが悩みなんですよね。

♥M
「檻のように思う」という表現の仕方をしていたね。
入りたい、入りたくないという葛藤の中にいるのだと思う。

♣R
ビーが心を開いていなかったから、ウィルはそう思っていたということですか?

娼婦の人がくれたCDを車の中で聴き始めてから、ウィルとビーの関係性が変化して、他人というよりは、親子として接するようになりましたよね。

♥M
うん。今後はビーも、ウィルに対して心を開いていくはずだね。

■ふたりが惹かれあう理由は?


♥M
ウィルとリヴは愛し合ってると思う?

♣R
愛し合ってはいたけれど、目に見えないくらいの距離は生まれていた。
でも、お互い昔のような関係に戻りたいし、歩み寄りたいとも思っている。

♥M
うん、うん。
でも、ウィルとリヴは価値観というか…何かズレてるよね。

♣R
スウェーデン人はなんとかでみたいに、出身国の違いでとは言っていましたよね。

♥M
そういうものもたしかにあるとは思うけど、そもそもふたりが惹かれあっている理由が見えなかったし、描かれていなかったね。

♣R
ふたりで車に乗っている時に「出会った頃を思い出す」と、話始めますが、その話の中にも強烈に惹かれ合う何かみたいなものは描かれていなかったですね。

♥M
リヴはセラピーに通っているでしょ。そのこともパートナーであるウィルは知らない。
それで、アミラと関係をもつ。
リヴはそれを受け入れて、パートナーの愛人であるアミラを助けるわけでしょ。
それだけで、ウィルとリヴの関係は修復できるものなのかな…私にはわからない。

もちろん調停の場で嘘をついて、パートナーの愛人であるアミラを助けるあたりは、リヴの寛大さが気持ちいいと思ったけれど、それからふたりで車に乗った後にリヴがキレるでしょう?
そうよそうよ、ここでふたりは戦わないとだめよ、と、期待したのに、あっという間にジャンプハグシーンになってしまう。台無し。

♣R
リヴがそれまでに我慢して溜め込んだエネルギーは、相当なものですよね。
それを考えると、車を降りた後の2、3分のやり取りで仲直りするとは思えないですね。
アミラ親子もサラエボに行ってハッピーエンドに暮らすでしょう、みたいで、そんなのは都合がよすぎますよね!

■ まさかの大団円


♥M
まさかこれ、こういう風に終わるんじゃあるまいなと思っていたら、そのまさかの大円団。

♣R
ジャンプハグしてハッピーエンドのことを言っていますか?(笑)。

♥M
はい(笑)。
ああいう展開になる?

♣R
説得力がないですよね。

♥M
うまくいっていないカップルがいました。モヤモヤしていた夫が、外に好きな人を作りました。
だけど、やっぱりふたりの関係のほうが大切だと思いました。
他の人と関係を持ったと告白すると、全てを分かった上で受け入れてくれたので、僕はそちらに戻ります、ということで…みたいな話でしょう?

♣R
早送りでダァーっとストーリーが進んでいった印象ですが、裁判とジャンプハグシーンの間に、もうひとつくらいアミラのストーリーを組み込んでほしかったですよね。
アミラがなかったことになっているみたいで、本当に軽薄な男の話にしか思えないですよ。

♥M
そうなの。
結局アミラはふたりの間の刺激剤だったということ?

♣R
関係を元に戻すための?

♥M
アミラは、ウィルとリヴが元に戻るためのきっかけになったにすぎない感じでしょう? 
そういう展開のドラマや映画はたくさんあるけれど…。

一般的に、恋愛関係において変化を求める人は少ない。だから何か問題が起きても、ふたりの間のことはキープしようとする。
ふたりの関係を壊して、新しい関係の方へいくというのは、体力がいるからね。
愛人を外に作っていたことがバレたことで 改めて配偶者の大切さが分かる、みたいなのを現実世界で実際にたくさん見ているから、わざわざ映画で見なくてもいいと思ってる。

ラストシーンで映画全体が本当に陳腐になってしまったのが残念。
私も気をつけないと。作品におけるラストシーンね、要注意(笑)。



~今回の映画~
『こわれゆく世界の中で』
2006年イギリス・アメリカ
監督:アンソニー・ミンゲラ
出演:ジュード・ロウ/ジュリエット・ビノシュ/ロビン・ライト/マーティン・フリーマン/レイ・ウィンストン

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