ふたりの映画鑑賞記/よいこの映画時間

◎5本目 『マリアンヌ』

2025/11/09

【あらすじ】
時代は1942年、舞台はカサブランカ。カナダ人秘密諜報員のマックス(ブラッド・ピット)は、フランス人レジスタンスのマリアンヌ(マリオン・コティヤール)と重要なミッションを通して出逢う。
それは夫婦を装ってドイツ軍に近づき、ドイツ大使の命を狙うというものだった。
ミッションは成功し、ロンドンで再会したふたりは結婚し、
子どもも生まれ、幸せに暮らしていたが…。

 

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[word_balloon id="1" position="L" size="S" balloon="bump" name_position="hide" radius="true" avatar_border="false" avatar_shadow="false" balloon_shadow="true" font_color="#ffffff" bg_color="#000000" border_color="#000000"]りきマルソー:♣R[/word_balloon]
♥M
ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールでなければどうなっていたのだろう、と思ってしまう映画だった。
私は鈍感になっているのかもしれない。感じられなくなっているのかもしれない。
「愛」がテーマみたいなのに、それがよくわからなかった。
なぜふたりがそんなに惹かれ合ったのかもよくわからなかった。
愛に理由なんてなくてもいいのだけれどね…。

♣R
『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』の時に路子さんが話していた、「戦争中とか、テロがあった時とか。死というものを身近に意識している時って、性的な衝動が高まる」、というのに通ずるところはあると思います。

♥M
周りのみんなが「作戦を共にしたからって結婚するなんて馬鹿げてる」と言うのは、そのことを言っているのよね。
でもそんなふうに言われたとしても、それを超えるくらい、惹かれ合うものがふたりにはあったわけでしょう?
その感じが…。

♣R
軽かったですよね。
戦争がメインのストーリーだけれど、本当に軽かった。
こういう映画はたびたび出てきますよね。
DVDレンタルのラインナップを見てもそう思います。

♥M
名作『カサブランカ』を意識してるのかな。というかオマージュ的な? 
同じ時代を扱っているし、カサブランカが舞台だし、フランスの国家「ラ・マルセイエーズ」を酒場のみんなで歌うシーンも同じだから、

♣R
『カサブランカ』観てないです…。

♥M
そっか。フランスの国歌「ラ・マルセイエーズ」を歌うシーンがあってね。感動的なシーンになってるの。

 

■役者の使われ方

♥M
印象に残ってるシーンは、数分間の砂漠での性愛のシーン。

♣R
車の中での。
自分は…ブラッド・ピットのお尻がものすごくきれいだと思いました(笑)。

♥M
そうそう、整形しているのかと思うくらいお尻がなめらかだったわね。

♣R
すごくきれいでしたよね!!(笑)。

♥M
ここ、盛り上がるとこだけど、次に行って(笑)。
りきちゃんの好きなマリオン・コティヤールはどうだった?

♣R
ヨーロッパの女優がハリウッド作品に出演するのと、ハリウッドの女優がヨーロッパ映画に出演するのでは、扱われ方が全然違いますね。
ハリウッドの女優がヨーロッパ映画に出演する方が、魅力が増すような気がします。
話の内容もあるとは思うのですが、ヨーロッパの女優がハリウッドの映画に出演すると、物足りなさを感じてしまいます。
いつも映画で観ているマリオン・コティヤールは、激しい役が多いので。
『エディット・ピアフ』だってそうですし。

♥M
とにかく身体を総崩れにして演技をするみたいなね。
でも今回は…。

♣R
抑えめでしたね。

♥M
美しいだけのマリオン・コティヤールだった。

♣R
物足りなかったですね。
ハリウッドではそういう扱われ方をしてしまうんですかね。
ハリウッド女優のキルスティン・ダンストが、ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』に出演した時は、ハリウッドの使われ方よりも、とても魅力的でいい使われ方をしていたんです。

♥M
『メランコリア』は観てない。
精神的な話だから、避けているのだと思う。

♣R
たしかにそういう話でした。
『メランコリア』のキルスティン・ダンストは、本当によかったですよ。

 

■もし相手がスパイだったら


♥M

マックスとマリアンヌは重たい使命を持って、人を殺したり、危険を伴うことをしているけれど、背負っている物が見えなかった。
幸せな生活をしている中にも、人を殺したりしていれば影が見えるはずなのに、あまりにも見えなくて、遊園地に行ってきました、ぐらいの感覚だった。

♣R
敢えて出さなかったんですかね?

♥M
どうなのかな…。
心情というか、志というか、国の為なのか、何なのか、というのも見えなくて。
たとえば、自分の妻を信じたいからといって、軍の飛行機で飛んで、飛んでった先のドイツ兵をガンガン殺したりして、そういうのもよくわからなくて。

♣R
自分がマックス側で、付き合ってる相手がドイツのスパイだって聞いたらどうしますか?

♥M
それは考えた。今まで付き合ってきた人たちを一人ひとり思い浮かべて観ていたもの。
自分の恋人なり夫なり、相手が私を裏切っていると他の人から知らされたら、私ならどうするかなって。
やっぱり全てが疑わしい行動に思えちゃうと思う。
疑心暗鬼になり、分からなくなっちゃう。
りきちゃんは?

♣R
私なら不安になると思います。

♥M
みんな不安になるわよ。
マックスはマリアンヌを信じるということで、疑念を晴らそうと行動する。
マックスの心の中には「信じる」というものがあるということ。
私は信じるより疑ってしまうかも。

♣R
かまをかけたりしますか?

♥M
うん、知りたくはないけれどね。しちゃうと思う。

♣R
例えば、命がかかっているとしたら、どうしますか?

♥M
ずばり聞いちゃうかも。
愛情の大きさにもよるけれど、子どものこととかが一切なく、自分ひとりだったら、殺されたとしても真実を知りたい。
そこまでではない相手だったら、やっぱりおかしいと思いながら、殺されないように逃げるかもしれない。

♣R
少なくとも、マックスにとってマリアンヌは「そこまでではない相手」ではなかったということですよね。
マリアンヌは、自分が最終的にどうなるか、というのも分かっていた。
だから予め家族宛に手紙を書いていたんですね。

♥M
それが最高の愛の表現ではないけれど、マックスに自分を殺させるというのを避ける為に自殺をした。
すごく冷めた言い方をしてしまうけれど、それが映画の宣伝で謡ってる「愛」。
予告編で「衝撃の結末」とか、「今までにない愛のかたちだ」とかの煽り文句があったから、どういうラストシーンなのかと思いながら観ていたのだけれど、そういう終わり方のことを言っていたのね。

 

■「連合軍」だから


♣R
最初はマリアンヌも本当にドイツ側のスパイだったんですかね?
終盤で「ここまで(イギリス)来れば奴らから逃げられると思ってた」みたいに言っていましたよね。

♥M
うんうん。
でも甘くない?
そんなに重要な任務を任されるスパイが平和に過ごせる? 
流れからすると、マリアンヌは足を洗い、結婚をして幸せに暮らすつもりだった。
でもやったことを思えば無理よね。

♣R
任務的にも、すぐに殺されてもおかしくない。
アメリカの映画らしい。
もうちょっとマリアンヌの心境に重点を置けば、少し深みのある話になったところを、マックスに置き過ぎた気はしますね。

♥M
制作側の意見が分かれたんじゃないか、って気がする。迷走した気が。

♣R
妥協して作られたみたいな感じですかね。
原題も『マリアンヌ』ですかね?

♥M
わざわざ日本のタイトルにしているくらいだから…。

♣R
そうですよね、マックスメインの話なのに、わざわざマリアンヌの名前をタイトルに持ってきているくらいですし。

・・・原題を調べる・・・

♣R
原題は『Allied』、意味は『連合軍』ですって。『マリアンヌ』じゃないんですね。
それを聞くと、話の中心がマリアンヌじゃないのも、まあタイトル通りの話だったからなって思って納得。

♥M
たしかにそうね。

♣R
キャッチコピーは「何度涙を流せば、愛する妻を守れるのか。」
「全てが明かされた先にある、「涙」の物語。」
監督は『フォレスト・ガンプ』のロバート・ゼメキス監督ですって。

♥M
えっ?そうなの? 『フォレスト・ガンプ』は面白かったよ。
もう少し愛について描かれていればよかったのになぁ。

♣R
描かれていたのはちらっとぐらいでしたね。

♥M
マリアンヌが空襲の中で出産するシーンは面白かったけど。
その時に「これが本当の私よ」と、言うシーン。

♣R
生と死の狭間みたいな。

♥M
うん、そうね。
当時はああいうことが本当にあったのでしょうね。
でも、子どもが生まれたことも淡々としていたし、子どもを守るという意識もあまり感じられなかった。

♣R
がやがやとパーティーをしている中で、小さい子どもをひとりにさせているし。

♥M
でも「連合軍」が原題だもの。

♣R
全てそれで解決しちゃいそうですね。

♥M
「連合軍」だからね。
愛の描き方も…。

♥M ♣R
「連合軍」だからね。

 


~今回の映画~

『マリアンヌ』
2016年 アメリカ
監督:ロバート・ゼメキス
出演:ブラッド・ピット/マリオン・コティヤール/リジー・キャプラン/マシュー・グード

 

(ここからはおまけ…)

♥M
全然関係ない話なのだけれど、実はハマっているものがあるの。
早くここから抜け出さないと、仕事に支障が出てきて大変なのよ。

♣R
アマゾンプライムのドラマじゃないんですか?

♥M
そうそう。
前に言っていた『ダウントン・アビー』は観終わったの。
1920年代のイギリスの話で、あれはハマってしまって、ダァーっと観て、終わってしまったの。すごく哀しい。
それでようやく足が洗えたと安心していて、もうそんなにハマるものはないだろうと思っていたの。いくつか気分転換でプチプチプチプチ観ていたのだけれど、どれもそんなにハマらないのよ。1話で止めちゃうとか、1話ですら途中で止めてしまったりして。
でもその中で、『メンタリスト』、というアメリカの面白いドラマに出会っちゃってね。
すっごくいっぱい話があるの。

♣R
海外のドラマは長いですからね。

♥M
勘弁して下さいって感じよ。まだシーズン3で、しかも24話くらいあるの(笑)。
もうダメなの。告白するけど、ハマっちゃってハマっちゃって。
私、心理学とか人の心理的な物が好きでしょう?
『メンタリスト』は、心理学やサイコパスに近いところにある作品で、人の心を読む話なの。捜査官役が、『プラダを着た悪魔』にも出演しているサイモン・ベイカー。ダメ男の設定なんだけど、とにかく魅力的。他の登場人物も良くて、その中でチョウっていう役の人、私の好みなの。

♣R
韓国移民二世の設定ですって。

♥M
無口なマッチョでいいのよ。

♣R
見た目ですか? 役柄ですか?

♥M
役柄も見た目も好きなの。
そのチョウ役の人と、サイモン・ベイカーを見るだけでも価値あり。
腕の盛り上がりがたまらん。
でも、りきちゃんの好みとはかぶらないからな。

♣R
私も韓国ドラマを観始めちゃったんです(笑)。

♥M
止めよう! もうお互い(笑)。
人生短いのに、こんなのに時間取られてたらいけないと思うのだけれど、止まらないのよね。
もう止まらなくて、この間も気持ち悪くなるまで観ちゃったの。
これは本当に止めようと思いつつ、今日も多分やってしまうのだけれど、寝る前に携帯の画面で見始めちゃう。
りきちゃんは大きい画面で観てるでしょ?

♣R
私はipadで観てます。

♥M
ipadならまだいいわよ。
いくら私の携帯の画面が大きめだとはいえ、それでずっと観ているの。
大体眠くなっちゃうからいつも1話くらいで終わってるのに、一昨日は3話ぐらいが続いてるすごく面白い話で、一番の盛り上がりだったの。
結局、夜中の4時頃まで観てた。

♣R
観始めると中々寝られないんですよね。

♥M
3本も観るなら、テレビで観れば良かったのにって感じよ。
この感じ分かる?(笑)。

♣R
寝るつもりで携帯で観ているから観始めるけれど、気になるから結局観てしまって眠れないんですよね

♥M
もうどうしよう…韓国ドラマとアメリカドラマにハマっている私たちが、フランス映画はやっぱりいいよね、と喋るこの嘘くささみたいな。
みんな、『メンタリスト』にハマってる私には何も言われたくないと思うわね。

♣R
(笑)。

♥M
『メンタリスト』が忙しすぎて、TSUTAYAで借りてきている映画もずっと観られない。

♣R
路子さん、アマゾンプライムなんですよね? じゃあ観ておいた方が良いですよ。
アマゾンプライムって急に配信終了になったりしますよ。

♥M
それは困る!!
りきちゃんもアマゾンプライムで観てるの?

♣R
そうです。以前は韓国ドラマも沢山配信されていたので、端から観ていこう!と思っていたら、しばらく観ないうちに配信が終了していたんです。
それでショックを受けて、アマゾンプライムからしばらく遠ざかっていたのに、また観始めようって思っちゃって。
そしたら韓国ドラマが6種類くらいしか残っていなかったんです。
えー!? 困るーって思いながらまた観始めちゃって。

♥M
そうなの?
ブームが去ったってことかしら。
えーっ! 早く観よう。
『ダウントン・アビー』はシーズン5、6個ぐらいだったけど、ワンシーズンが10話くらいだったから、そんなに長くなかったの。
でも『メンタリスト』は、嬉しいけど、ものすごく長いんだもの。
でも、シーズン3まで来ちゃって、あと2シーズン分で終わりだと思ったらじみじみ観ちゃう。

♣R
シーズン5までなんですか?

♥M
アマゾンプライムで配信されているのが、シーズン5までなのかな。

♣R
じゃあまだ終わっていないんですね。

♥M
うん、まだこれからよ。

♣R
自分は、コン・ユという俳優が主演の『ビッグ』という韓国ドラマを観ています。

♥M
りきちゃん好みの男性ね。
観ているだけでもいい感じ?

♣R
バカっぽいところもかわいいんです。

♥M
りきちゃんの好きな写真家、森栄喜の世界観の人の感じがしない?

♣R
森栄喜のモデルは、もうちょっと色素が薄いですよ

♥M
この人濃い?

♣R
結構濃いですよ(笑)。

♥M
芸術とか言っているけれど、私は『メンタリスト』とか観てウホウホ言って生きていけるのかもって思って、最近絶望的なの。
まだ『ダウントン・アビー』は20年代の…とか言えたけど、『メンタリスト』は何も言えない。

♣R
逃避のひとつなんじゃないですかね。
たまにはそういうのも必要ですよ。

♥M
たまにだったらいいけれど…。
でも本当に面白い。

♣R
ハマる人の気持ちが分かる。
ずっと観ちゃうし、韓国ドラマを観て新大久保行きたくなる気持ちも分かる。
韓国行きたくてしかたないですもん。

♥M
時間があると観ちゃうでしょ?
1時間あるからとか。

♣R
そうそうそう。

♥M
そういうのはエネルギーがいらないから、自分からのアクションがいらないわけですよ。
観たい映画はちゃんとした時に観ようと、そのための時間を作って、よし観るぞ! と思わなくてはいけないけれど、『メンタリスト』は、あー疲れた、パチッ! みたいな…で、気付くと2時間くらい経ってたり。

♣R
寝ながら観ようとか。

♥M
寝る前にちょっと、みたいに。
ダメね。でもよかった、私だけじゃなくて。
悔しいから、みんなに広めて、はめてやろうかと思ってるくらい(笑)。

♣R
『ダウントン・アビー』は友達から教えてもらったんでしたっけ?

♥M
そう。友達も「ハマるよー」と言ってて、私そんなにハマらないもん! と思っていたけれど、ハマっちゃった。
その友達とメールのやりとりをしていた時、「あっ、ごめん。今から第二次世界大戦が始まるから、また後でね」とか言われていたんだけど、そう返信してしまう気持ちが分かる。
あっ、このシーンだったんだって。それで共通の会話は出来るんだけどね。
『メンタリスト』は面白い。心理学の勉強をしたいなと思った。
例えば、りきちゃんが今こういう風に腕を置いているし、目がこうなっているから、こういう心理でしょう? と、言ったりするの。
ドラマだから上手く当てるのだけれど、人のそういう行動が読めたら面白いだろうなって。

♣R
でも読み過ぎちゃうと辛いですよね。

♥M
辛いですよね。
恋人と話してても、今つまらないと思ってるんだとか、浮気した? って聞いた時の答えに対して、本当は嘘なんだ…とか全部分かっちゃうんだもんね。
私、そうでなくても割とそういうのに敏感なはずだから。

♣R
疲れちゃう。

♥M
たしかに。

 

-ふたりの映画鑑賞記/よいこの映画時間