ふたりの映画鑑賞記/よいこの映画時間

◎14本目 『愛を綴る女』 フランス映画祭2017公開作品

2026/02/19

【あらすじ】
最愛の男性と結ばれず、両親の決めた相手と結婚をすることになった美しい女性ガブリエル(マリオン・コティヤール)は、結婚相手のジョゼ(アレックス・ブレンデミュール)と付かず離れずの関係を続ける。
ある日、流産が原因で腎臓結石と診断されたガブリエルは、療養所での治療を始めるが、そこで帰還兵のアンドレ(ルイ・ガレル)と出会い…。




♥M
すごくお金をかけて、大女優を起用し、監督が表現したかったものは?
私はこの映画を観たことによって、何を受け取ればよかったのかな…。

♣R
映画というよりは、テレビドラマや連続ドラマでありそうな設定でしたね。

♥M
連続ドラマと映画の違いは? という深い問題に入っていきそうだけれど(笑)。

♣R
ドラマでよく観るような設定というのもありますが、そのストーリー性に強い娯楽性を感じたからというのも理由のひとつですね。

♥M
りきちゃん的にはよかった?

♣R
『マリアンヌ』よりはよかったです(笑)。

♥M
『マリアンヌ』の方が美しいシーンもあったし、ブラピも出演していたわよ!

♣R
私、割と地味な映画が好きなので(笑)。

♥M
地味だけど…映像の感じが『ピアノレッスン』みたいだった。田舎の美しさとか。
観たことある?

♣R
ないです…観るべき映画を観ていない私でございます(笑)。
ちょっと昔の話という設定ですよね?

♥M
うん。フランスとベトナムとか、インドシナの話だから1970年代かな。

♣R
療養所が舞台として出てきていましたが、ホースみたいなのでシャーってかけられるじゃないですか。
他の映画でも、そういうシーンを観たことがありますが…たしか『好奇心』かな。

♥M
あれって、刑務所に入る人がされない?

♣R
看守からいじめられる時にですか?

♥M
いじめられる時ではなくて、全部きれいにするために。

♣R
あの療養所は、すごく豪華な場所ですよね。
いわゆる髪の乱れたお母さんみたいな人が入るサナトリウム的な感じではないですよね。
まるでペンションみたい。

♥M
そうそう。有閑マダムとかが行くようなね。

■「妄想」または「スピリチュアル」


♣R
ものすごく走るシーンがよく出てくる映画でしたね。
暗い森で走るシーンは好きでしたが、すぐ走るし、めんどくせえ人物だと思っちゃいました(笑)。
突き上げる感情が彼女自身を動かしているんですかね。

♥M
激情の人ということよね…要するに感情をコントロールするのが難しい人。
それでちょっと奇人扱いされてしまったり、家族とも上手くいかない。
アンドレとのことも、一方的な愛情だった可能性が多分にある。
引き出しにしまいっぱなしだった十字架も、ちょっといいと思える人に会ったら、取り出して「ありがとう」と、言ったり。

♣R
都合がいいですよね。

♥M
すごく独りよがりで、ちょっとやっぱりあの人おかしいよね? となるような人物。
でもそんな人でも愛してくれる人がいて、幸せになるという話?

♣R
うまくまとめましたね(笑)。

ガブリエルは、今までにも先生を好きになり過ぎて激しい行動に出てしまったりしていたけれど、温泉療養所で知り合ったアンドレがきっかけで、自分の中の精神状態が一線を越えてしまった感じだと思います。
だからそれによって、自分の中で妄想として偽ってしまったのかと…。

♥M
やっぱり妄想でいいのね。

♣R
そうだと思いますよ。
実際にはなかった関係性。

♥M
じゃあ妄想でしたという話なのね。

♣R
妄想でした、という一言で片づけてしまうのはあれですが…(笑)。

療養所からアンドレがいなくなった後、ガブリエルは3日ほど眠り込んでしまうくらいショックを受け、その後にアンドレが戻るという設定でしたが、それって精神状態の不安定さが作り出した幻想みたいなものですよね。アンドレの部下の話が本当であれば、アンドレは出ていった後すぐに亡くなっているし、療養所には戻っていない。

♥M
色々考えられるの…ガブリエルのことをとても好きだったから、霊としてこの世に舞い戻ってきたとか。そういう状況も考えられるね。

♣R
スピリチュアル的な展開ですね。

♥M
そうそう。でもきっとそうではないのよね。

♣R
そうではないような気がします。

♥M
どちらにしても私は納得がいかない(笑)。

■私たちのルイ・ガレル


♥M
それにしても、私たちの好きなルイ・ガレルが出てくるまでが…。

♥M ♣R
長い!

♣R
そして、ルイ・ガレルがメインでは…。

♥M
ない。

♣R
ルイ・ガレルがピアノを弾いているシーン、好きでした。

♥M
やっぱりルイ・ガレルが出ているシーンはいいのよ。
ルイ・ガレルが出ているからこそ救われているシーンがあったし、それがなかったら、私は爆睡状態に入っていたと思う。
ピアノのシーンとか、病んでいて、もう死んでしまいそうという設定の、あのセクシーさはたまらない。セックスシーンもとてもよかった。

♣R
私、チャイコフスキーがちょっと好きなんですけど、あのピアノの曲がチャイコフスキーとは知らずにいいなと思っていたら、チャイコフスキーだと話していましたね。(「舟歌」という曲でした)

♥M
それはすごい。いいなと思ったのが、自分の好きなアーティストだったなんて。

■息子の父親


♥M
これはガブリエルの旦那さん目線の映画かな。ああいう旦那さんみたいな愛し方をする人、いるよね。

♣R
全てを許すみたいな?

♥M
全てを許す愛…とにかく彼女を失わない、というのを第一に考えるような人。

娼婦のところに行くくらいならと、自分が娼婦の役をして旦那さんと初めてセックスをするけれど、あの後は普通にセックスしていたのかな?

♣R
その時のセックスで出来た子どもが流産してしまったのか、普段セックスをしていた時に出来た子どもが流産してしまったのか、そのあたりも分からないですね。

♥M
日常的にしていたのかな。
息子はアンドレとの息子ではなく、旦那さんとの子どもだった、ということよね?

♣R
子どもが出来た時、アンドレへの手紙の内容を話しているシーンがありましたが、嬉しくなさそうに妊娠したと話していたので、旦那の子だからなのかなと思っていたんです。

♥M
その時に、旦那さんの子だという認識があったのかな。
でもそれは、旦那に対する裏切りになるから暗い顔をしていたからではなくて?

♣R
うーん…時間の流れがいまいち分からなかったんですよね。

♥M
そうなの!
療養所から帰ってきて旦那さんとすぐにセックスをしていれば、旦那さんの子である可能性がある。
ガブリエルはアンドレとセックスをして出来た子どもだと思っているから、ピアノとかを習わせていたのかな…。

結局、最後に解き明かされたのは、旦那さんはペンションに泊まらず、夜中にガブリエルの病室にやってきていて、ガブリエルもアンドレと勘違してなのかどうかは分からないけれど、実際は旦那とセックスをしていたということ。きっとその時に出来た子どもなのよね。

♣R
多分…ちゃんちゃん!みたいな感じの結末ですね。

♥M
説明するとつまらなくなってしまうけれど、結局そういうこと。
彼女はすごく暴走する人で、最初は教師に対して一方的に愛情を注ぎ、彼の本に書いてあるサインを舐めたりしているような激情の人だけれど、最後になると普通の人っぽく落ち着いてる。それがもし旦那さんの愛の力だというオチだと…。

♣R
ものすごくつまらない映画になりますね(笑)。

■気付けば隣に愛する人


♣R
子どものピアノコンクールの帰りに、ガブリエルが車の中でふいに「あなた、療養所に来てくれたわよね」と、話し始めますよね。あれは何でですかね。

♥M
アンドレが死んだというのが分かった後でしょう?

♣R
自分でもちょっと気付き始めていたということですか?

♥M
そうそう。あれ、そういえば?みたいな。
妄想の世界に入っていたのかしらと、気付いて、真実を知りたくなったのかな。

♣R
旦那も、眠れないから療養所にセックスしに来るって。

♥M
夜中、勝手に療養所に入れるのね。
あらゆることが自由。

♣R
時代が時代だから(笑)。

ラストで旦那が真実を話したということは、ガブリエルがアンドレとの子どもであると思っていると気付いていたからなのかもしれませんね。

♥M
すごく人を想うということは、それだけの妄想を引き出す可能性があるということだし、全てを許すという愛もあるし、いろんな愛のかたちを描こうとしたということなのかしらね。
元々、旦那さんだって、彼女と結婚しようと思ったのは、美人ですよねーくらいの感覚で、彼女をすごく好きだったからという訳ではないでしょう?

♣R
それはやっぱり時代なんですかね。
彼女の両親が支援をするという話もありましたし。

♥M
家族の中でもガブリエルは厄介者だし、誰かにやっちゃいたかった、というのもあるかもしれないね。

♣R
ラストでは普通の人っぽくなっていましたが、長年、ウワーってなっていた人が、アンドレが死んだのを知ったことであんなにすんなり落ち着くものなんですかね。

♥M
旦那の故郷を一緒に見に行ったりしちゃってね。

♣R
そこで旦那の愛に気付いたということですか?

♥M
気付けば隣に愛する人がいたわ…って、そんなのないでしょう!

■すべては「結石」のせい?


♣R
映画祭で上映される映画は、まだ全然情報がないので、調べようがないんですよね。

♥M
あとで見たら「全然違いましたよ!」となって面白いかも(笑)。
秋ぐらいに調べてみたら、私たちがとんちんかんなことを言っていた、という可能性があるのがまた面白いね。

♣R
「路子さん、あれ全然違いましたよ!」と言っているのが目に浮かびます(笑)。

(ネットリサーチして)
もう映画サイトに評価がいくつか出てるみたいですね。
名古屋のゲイ友がこの映画を観ていたことを今知りました。
「マリオン・コティヤールは終始年齢不詳な感じだけど、こういう精神的にまいってる不幸美人の役をやらせたら一層輝きますな」と、コメントしてます。

♥M
感性が鈍ってついていけていないのかも、私。
他にどんなコメントがあった?

♣R
マリオン・コティヤールの演技の評価が多いですね。役者の評価が高い。

♥M
みんな、ストーリーではなく、役者の演技を評価しているのね。

♣R
そういえば、原題の意味は何ですかね。「まるでピエロ」みたいなやつ(笑)。

(原題は「Mal de pierres」。私ひどすぎる…。)

♥M
りきちゃん、フランス語を習っていたのに(笑)。

♣R
(調べて)「石の痛み」という意味ですって。結石、というのが直訳。
全ては結石が起こしたこと、という意味ですか?
結石に操られた不幸な女の話…ちょっとそれは、それはちょっと!!(笑)。
で、結石が治ったから…。

♥M
穏やかになったみたいな?

♣R
それが真実ですか?
まあ、たしかにタイミング的には一緒ですよね(笑)。

♥M
まあね(笑)。
じゃあ、療養所で石は取れたのね?

♣R
ちょっとよくなったから退院ってなってましたもんね。

♥M
「結石」は象徴であって、腎臓にだけではなくて、心にもあった、みたいなとらえかたでいいのかな。 



~今回の映画~
『愛を綴る女』
2016年 フランス・ベルギー
監督:ニコール・ガルシア
出演:マリオン・コティヤール/ルイ・ガレル/アレックス・ブレンデミュール

-ふたりの映画鑑賞記/よいこの映画時間