日々のこと

魔の湖から発する霧

 そうとうきもちを強くもたないと、膝から崩れ落ちてしまいそうで、茨木のり子に助けを求めた夜。

 こころがしずまる感覚はあったけれど、昨夜は、言葉をあつかうものとしての自信が、もともとそんなにないというのに、消滅しそうだった。茨木のり子の作品があまりにもするどくて美しかったから。そして消滅しそうなのに、言葉への愛を再確認したりして涙して、ひじょうにややこしい夜だった。

「みずうみ」というタイトルの詩から、とても響いた箇所を抜粋。

人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖を持つべきなのだ

田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で

それこそ しいんと落ちついて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖

教養や学歴とはなんの関係もないらしい
人間の魅力とは
たぶんその湖のあたりから
発する霧だ

 自分の湖、魔の湖を私はもっているだろうか。そこから発せられる霧があるだろうか。こころもとなく想いを泳がせる。

 昨年末に買ったトルコ桔梗と千両は、日に日にようすを変えながら、美しく咲いている。

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