☆45本目『隠された日記 母たち、娘たち』
2026/03/02
【あらすじ】
パートナーではない人との子を妊娠したオドレイ(マリナ・ハンズ)は、母親になることへの不安もあり、産むか否か迷っていた。そんなある日、亡き祖父が暮らしていた海辺の家で祖母ルイーズの日記を見つける。50年前に家族を残して家出した祖母の日記には心に秘めていた想いが記されていた。
オドレイは母のマルティーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)に日記のことを話すが、祖母については口を閉ざすばかりで…。

♥M
オドレイ役のマリナ・ハンズは、プライベートでもドヌーヴと仲良しなんですって。
「いつも仲良しだけど、本番が始まると険悪な仲になるのは面白かった」と、インタビューでドヌーヴが言ってた。
♣R
「シーフードはRのつく月に食べる」、というのがありましたけど、あれってフランスの格言的なものなんですか?
♥M
私も思った。
『逢いたくて』でも「Rでおわる月しかキスをしない」と言っているシーンがあったね。
♣R
「R」の意味とは…。
※フランス人のお友達に聞いてみたところ、ルイ15世の時代から言われていることで、当時の社会的背景が関係しているとのこと。基本的には、衛生面を考慮した決まりだったらしく、Rのつかない月、つまり5月から8月は食べてはいけない、ということらしいです。
■女性の自立と自由のバランス
♥M
テーマがはっきりとした映画だったね。
まずひとつは、サブタイトルにもなっている、母と娘の関係性。もうひとつは女性の自立。
母と娘については、永遠の課題ね。。
女性の自立については、私は働くのが当たり前という時代に育ったけど…。
♣R
映画の中で描かれている祖母ルイーズの時代は、そういったことが難しかったんですよね。
♥M
そうね。その難しい時代の中で、自立するために頑張ったのが、母親のマルティーヌ。
♣R
努力をする上で、ルイーズからの教えが大きかったように思いました。
♥M
ルイーズは、むなしい毎日を送るなかで、女性の自立の大切さや、仕事を持つことへの重要さを知っていたから、マルティーヌにも頑張って豊かな人生を送るようにと強調して言い聞かせていたけれど、結局その通りになったと思う?
♣R
たしかにその通りにはなりましたが…マルティーヌが、娘のオドレイに対して「自由にやってほしかった」と言ったのは、自分の母親から呪縛のようにずっと言い聞かせられていたからかもしれませんね。
自分は仕事人間のようになってしまったけれど、こうはならなくてもいい、もっと自由に生きていいよ、という意味を含んでいたと私は捉えました。
♥M
自由にやりなさいと言いながら、オドレイが遠くに行くと怒ったり、不機嫌になっちゃう。それって、娘にとってはたまらないし、矛盾はしているけれど、感情のことだからしかたないよね。
♣R
生きていく上での息苦しさや、子どもへの愛情を綴ったルイーズの日記についてはどう思いますか?
♥M
愛という名の反抗しにくい状況によって抑圧されていた人物だから、書かずにはいられなかったんでしょうね。すごく愛されてはいるけれど、理解のない夫。それって、愛なのかな。
レシピ集の中に日記が書いてあったという設定なのよね?
♣R
色々帳みたいな感じで使っていたのかもしれませんね。
語学であったり、写真であったり…。
♥M
そうそう。日記を書き残すのも、そのひとつね。
ルイーズは、とてもクリエイティブなものを持っている人だったのだと思う。
■世間が抱く「ドヌーヴは冷たい女」のような母親

♥M
マルティーヌは夫と愛し合っていると思う?
♣R
夫は全てを受け入れているような人物でしたよね。
♥M
すごくいい人だった。
全然嫌な部分を感じない人。
♣R
娘よりも、妻であるマルティーヌの方が大事だと思っている節がありましたね。
♥M
いつもマルティーヌをかばってるのよね。
でも、問題だと思った部分もあった。
マルティーヌは妊娠に気づいているのに直接聞かず、夫が、つまり父親が娘にその話を切り出すのよ? 母と娘の距離感をとても感じたシーンだった。
♣R
女性からの方が話しやすいですよね。
♥M
父親よりは、母親に相談したいよね…。
テーマが明確すぎたから、もうちょっとひねりが欲しかったかな。
現実世界でよく見聞きするものが描かれていた感じがしたの。
結局、ルイーズは家を出て行ったわけではなく、夫に殺されたという結末だったけれど、それが分からなかったら、マルティーヌとオドレイは、寄り添わないまま、また旅立ち、疎遠になっていたかもしれない。
真実が分かったからこそ、マルティーヌの弱い部分が見え…。
♣R
マルティーヌがどうして娘に冷たい態度を取っていたのか、というのが分かる。
♥M
カトリーヌ・ドヌーヴの出演作品として、他の作品でも見るタイプの人物だったね。
ちょっと冷たい人で、エゴイスティック、愛情がない訳ではないけれど、近寄りがたい母親。
♣R
『3つの心』や『ミス・ブルターニュの恋』でも描かれているような。
♥M
そうそう。
♣R
作る側も世間が抱いている「ドヌーヴは冷たい女」というイメージを持っているから、クールな役に起用するのかもしれませんね。

