☆32本目『恋のモンマルトル』
2026/03/02
【あらすじ】
キャバレーで人気の歌「Zig Zig」を唄うダンサーのマリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)とポリーヌ(ベルナデット・ラフォン)。
パートナーであるふたりには家を建てるという夢があり、お金を貯めるために娼婦としても働いているが…。

♥M
劇中歌や原題の「Zig Zig」とは一体なに?
♣R
作品の中でも、男の人が同じことを聞いていましたが、セックスみたいな意味合いが含まれているのかもしれませんね。
♥M
セックスまではいかないにしても、いいことしましょう、くらいの感じかな。
この映画の監督ラズロ・サボは、他にどんなものを撮っているの?
♣R
監督というよりは、演者の方が多いみたいで、ゴダールやアルノー・デプレシャン、オリヴィエ・アサイヤスの映画に出演しているみたいです。
♥M
そうだったの!
誘拐されたオペラ歌手のエピソードがよかった。
♣R
あぁ、ちょっと汚らしいおばさんの!
ディヴァインというドラァグクイーンが出演しているジョン・ウォーターズ監督のカルト映画『ピンクフラミンゴ』に出てくる、赤ちゃんゲージの中でいつも卵を食べている汚らしいおばさんを思い出しちゃいました。
オペラのおばさんのシーンは、割としっかり描かれていましたよね。
ちゃっかり運命の出会いもあったり、「助けるなんてーここに居たいわ」って言ったり。
♥M
そうそう。「人生って最高ね 素晴らしきかな人生…」と、言っていたり。
♣R
誘拐をされたことで、逆に人生花開いていましたよね。
手袋を取ってひらひらさせてから投げるシーンは、『8人の女たち』で、ファニー・アルダンが唄っているシーンを思い出しました。
♥M
私も思った。これもオマージュなのかな?
オゾンはオマージュが多いからね。
♣R
しかもファニー・アルダンは娼婦の役でしたね。
♥M
たしかにね…じゃあ『恋のモンマルトル』もオマージュとして入っている可能性が高いね。
■ハツラツとしたドヌーヴ

♥M
マリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)の元恋人が酔っ払ってフラついている映像から始まったから、絶対につまらないだろうと思っていたけれど、結構面白かった。
ドヌーヴの表現が激しめで、マリーとポリーヌ(ベルナデット・ラフォン)が唄い始めたあたりから、ドヌーヴの演技がハツラツとしている、と思い始めたの。
♣R
たしかに、思っていたよりもよかったですね。
いきいきしていて、ラストに向かって激しさを増していくし、なによりドヌーヴがとても楽しそうでした。
♥M
そうなの。
この映画の頃は、ドヌーヴにオファーが殺到していた時期だと思う。
「ジグザグに進むのが好き」と、言っていたくらい色々な役に挑戦をしていた時期。
30代は不調で、『終電車』で一度引退を考えたけれど、40歳で『ハンガー』に出演した。
その後は『インドシナ』まで、再び不作の時代が続くのよ。
この作品は、ドヌーヴがプロデューサーなの。知ってた?
♣R
知らなかったです!
♥M
今まで演じてきていたクールなイメージではなく、激情型。
それまでに出演していた作品とは色彩が違うから、珍しいと思って、この作品について調べてみたら、彼女が映画作りに関わっているのを知ったの。
自分が関わった上でこういう役にしたということは、ドヌーヴはこういう人物を演じたかったのね。
この作品の見どころは、そのようなハツラツとして弾けているドヌーヴが、感情を爆発させているところ。
ポリーヌがお金目当てで誘拐事件に関係していると知った時、追いかけたりしていたけれど、そんな役、今までになかったもの
♣R
女スパイみたいでしたね
♥M
うん。演じているのを楽しんでいる感じがするし、年齢的にも旬で、とてもきれい。
でも内容はそんなにないかもしれないね
♣R
ストーリーの奥深さなどは感じられないですね。
■仲良しのマリーとポリーヌ

♣R
ふたりは町中の人気者なんですね。
♥M
飲み屋でもどこでも。
♣R
みんながふたりに群がっていましたね。
♥M
売春行為をしているのにね。
♣R
警察すら目をつぶっている。
『昼顔』とは違う娼婦の姿ですよね
♥M
全然違う。明るくて…。
♣R
バンバンおいで! ぐらいの勢いがありました。
♥M
悲壮感もないし、セックスというものがないような映画だった。
♣R
身体を売るシーンは少し出てきましたが、コメディタッチでしたね。
♥M
そうそう。同じことを描いていても、こんなに違うのね。
♣R
ふたりは家を建てるために、娼婦として働いて、お金を貯めているんですよね。
♥M
うん。スイスに建てると言っていたかな?
海外の山に建てる計画だった。
頼り甲斐のあるしっかり者のマリーと、ちょっと危うい面を持つポリーヌは、すごく強い絆で結ばれている。ふたりの役割分担がはっきりしているから、争いもない。
そういうふたりは絶対にうまくいくけれど、ポリーヌは男のためにマリーを裏切った。
♣R
お金のために。
♥M
お金が最初ね。
でも、バンドマンの男の人と恋仲でしょう?
♣R
情熱的な恋愛をしている仲ではなく、お客の延長という感じがしました。
家を建てるためにお金が必要だから、一回で莫大な金額が手に入ることに魅力を感じてやったんじゃないんですかね…。
♥M
女ふたりでお家を建てて、一緒に暮らすことが夢になっている時点で、ふたりとも成熟はしていないよね。
♣R
夢物語みたいな感じですか?
♥M
そう。仲良しのふたりが…。
♣R
将来一緒にお店やりましょう…みたいな?
♥M
そうそう。そんな感覚だと思う。
でもやっぱり気持ちの面では支え合っているから、共依存の関係かな。
ポリーヌも支えられているけれど、マリーも頼られたり、ダメな人を支えることにより、自分の存在意義を感じている。
■友達以上だけれども

♣R
この映画は、レズビアン的な要素を持つ作品ということですか?
♥M
ラストシーンのこと?
♣R
そうです。自分は友情以上のものを感じました。
♥M
それは全然思わなかったけれど、レズビアンの話なの?
でも、女同士の友情はちょっと分かるけれど、どこが境界線なのか、というのは分からない。
♣R
例えば、友達同士でも、友達が死んでしまったらキスとかするんですか?
♥M
フランス人と日本人の違いもあると思う。
♣R
そうか…超える何かがあるような気がしたんですよね。
♥M
10代の頃は女友達、特に親友に対しては、普通の友達以上のものを感じることがあるの。
♣R
女性の先輩に恋をする、みたいな感じですか?
♥M
それはレズビアン的感覚かな。
お互いに彼氏もいて、友達同士だと分かり合っているけれど、自分以外の女友達と、自分以上に仲良くしたりし始めると、すごくヤキモチを焼いてしまう。
私のことが一番好きなんじゃないの? という感覚。
かと言って、寝たいかというと、それとはまた違う。
今りきちゃんが言っていたことは、私にとって思いもよらなかったな。
たしかに危うい何かはあるかもしれないけれど、レズビアンというのが濃厚にあったとしたら、もっとシーンの途中で出てくると思うから…。
