●美術エッセイ『彼女だけの名画』11:パリ、結婚とシャガール
2020/08/26
「結婚」という言葉にふれるとき、小雨の降るあの街角と、一枚の絵を思い出す。
クリスマスシーズンにひとり訪れたパリ。滞在3日目は25日だったため、いくつかのカフェを除いて、ほとんどの店が閉まっていた。モンパルナス・タワー近くのプチホテルを出たときも、通りにはひとがほとんどいなかった。
1キロ半くらいのところにサンジェルマン・デ・プレ教会がある。
その前にある「カフェ・ドゥ・マゴ」で珈琲を飲みながら手紙でも書こうと思った。
細かい霧のような雨の中をのんびりと歩いていた。
途中、ウェディング・ショップがあったので足を止めた。
ショーウインドウに飾られていた一枚のドレス、いまでもよく覚えている。