ブログ「言葉美術館」

■引越し準備のなかの薔薇

 

 

 わりと突然に決まった引越し。

 部屋の整理に追われ、埃まみれの日々。

 小さな部屋への移動なので、処分しなければならないもの、置いていくものがほとんど。

 家具、服などはどうでもいいのだが、つらいのが本。

 いままででもっとも大量の本を手放した。

 引越し屋さんからいただく小さい方の段ボールで12箱くらいかな。いったい何冊分なのだろう。数えなかった。もう読むことはほとんどないだろう、だけど、あのころの思い出がいっぱいつまっている。

 そんなことを考えると、なかなか手放せなくて、もう一回目を通したりして未練たらたら。

 

 「ご自由にお持ちください」といくつかの小物や、本を玄関先に出していたら、隣の、いつも花を買っていたお花屋さんのマダムが、「これ、いただいてもいいですか?」と。

 もちろんです、嬉しいです。

 そうしたら、しばらくしてピンポン。

 お礼に、引越しまでの間だけでも、どうぞ。と、深紅のミニ薔薇をくださった。埃にまみれていたなか、いただいた薔薇の美しかったこと。

 いつもの花瓶はもう段ボールのなか。置いていく予定の大きなブルーの花瓶にどさりと。

 しばらく、体育座りをして、眺めていた。

 引越し関連のあれこれ、社会的な埃に覆われてしまっている私の表面、その下にあるなにかが、すこしだけ息を吹き返したように思えた。

 引越し日が間近で、体調を崩さないことだけに留意している。

 路子倶楽部のみなさまには、更新がすこし滞ってしまうかもしれないこと、ごめんなさい。

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