■サガンとシャネル、ちょっと疲れた夜に
作年末からずっと、たぶん、忙しい。
2月の初旬に大和書房さんからの言葉シリーズ「サガンの言葉」が刊行予定。ゲラのチェック、写真選び、オンライン打ち合わせ、あとがきなどの仕事。
3月中旬にブルーモーメントから「シャネル哲学〜ココ・シャネルという生き方 再生版」が刊行予定。
これが大変。私は書き終わった人に対して、昔の恋人感覚になるので、もう一度向き合うのがけっこうしんどい。
再生版オードリーもマリリンも、序章は差し替えたものの、細かい直しだけだった。
けれど、シャネルは違う。2009年に「ココ・シャネルの言葉」を出してから、さまざまな「新事実」なるものが出てきて、新しい本が刊行されていて、あらたに分厚い本を3冊読み込んで、「新事実」を盛り込み、訂正し、つまりほとんど「書き直し」状態。
3冊の本。
つくづく思ったのは、伝記本って作家のものなんだな、ってこと。
つまり、作家の人間性がそのまま出る。
同じ情報がある。そこから何を拾うか、「事実」から何を想像するか、何を「見る」か。それがこんなにもあけすけに出てしまうとは。
私は私のシャネルを。
ってあらためて思った。
この再生版は私のシャネルの決定版とする、って決意している。だから手を抜かない。
全部書き直したい衝動が突き上げてくる。言葉の使い方とか、漢字、ひらがな、句点読点まで。
ずっと家に缶詰状態。でもやればできるもので、朝からずっとシャネルと向かい合い、気づけは夜がふけている。
よいこともあって。同居している編集者は仕事に集中しているときの著者には優しいの。
集中してすべきことをしたら、ようやく再び動き出したタンゴの小説を書きたい。