路子先生との時間

わたしを変えたワイン物語

2017/02/21

先月中旬、港区の夜景が美しいプライべート・レストランにて、その密やかな会は開かれました。

これまでに何度か紹介している「山口路子のミューズサロン」場外編。
テーマは「わたしを変えたワイン物語」。
僭越ながら私がナビゲーターをつとめさせて頂きました。

ワインのうんちくや知識を話すのではなく、主題は、ワインとの個人的な物語。 

私がワインを飲み始めたのは、24歳頃とそんなに早い方ではないですが、
それから紆余曲折あって仕事も変え、今はワインにどっぷり。

真面目な(?)通信業界のOLだったのに、一体どうしちゃったんでしょう。
なぜ、ワインだったのでしょう。 
……というようなお話です。

口べただからシナリオはしっかり作ろうと思ったのですが、いざまとめようとすると、大変でした。

ワインとの関わりを振り返るということは、多感だった20代後半と向き合うこと。
そこにはワインだけでなく、影響をうけた人、言葉、本……さまざまな要素が入り交じっていて、紐解くのはすごくエネルギーのいる作業でした。



ふりかえってみて思うのは、 
『このときこの人にあったから、こうなった』 『この人にあったから、今のわたしがいる』
というようなひとに出逢うときは、集中して来る。

これは3年前のあるトークショーでの路子先生の言葉。

そのときは「ふーん、そんなもんかぁ」という感じだったけど、 
後から振り返ると確かにそういう時期は私にも訪れていました。

ワインを通して出会いの波が集中してやってきたり、ここで人生が別の方向に動いた、という決定的な瞬間があったり(当時は当然わからない)、気づかぬうちに、ワインは単なるお酒を越え、人生を変える飲み物になっていました。


お話だけじゃつまらないので、もちろん食べながら飲みながら。 
私の「記憶に残るワイン」を3本選んで(これも絞るのが大変だった)エピソードとともにご紹介し、参加者のみなさまにも思い入れのあるワインを1人1本お持ちいただきました。

みなさまのお話も、面白かった。

今回の会が個人的に異色だと思うのは、ワインがテーマの会なのに、ちょっとしかorほとんど飲めない、でもワインのストーリーに興味がある、という人が多く集まった点。

「えーっ別にワインに思い入れなんてないよ」とワイン選びに迷った方もいるかもしれないけど、実際に話を聞いてみると、なにかしらその人ならではの物語があって、興味深かった。


左は、私が選んだ「記憶に残るワイン」のひとつ。右は、打ち合わせもしていないのに、たまたまお友達がもってきた、同じワイナリーのワイン。
キーとなる本「ルバイヤート」までシンクロ……。震えました。

いつもは食事やワインの写真を取るのに、お話に夢中で、全然写真が残ってない。でも、いいの。緊張もしたけど、とにかく充実した時間で、この場を設けてもらったことへの感謝でいっぱいでした。

 

30歳のいまの自分。 
まだもがいている最中だけど、そのもがき方は闇雲だった20代のものとは決定的に違う。
では具体的にどう違うのか。 
20代の軌跡とちゃんと向き合わないといけないな、とちょうど思っていたところでした。

今回の会がなかったら、きっと先延ばしにしていたこと(だって、大変だもの)。 
強制的に向き合うことで、ようやく自分のなかで気持の整理ができたのでした。

これで心置きなく30代も突き進めそうです。

-路子先生との時間