MODEな軽井沢 特別な物語

◆ゴルチエの最初のモデル◆2009.1.12

2020/04/22

先日読んだ本に、『コックと泥棒、その妻と愛人』(監督:ピーターグリーナウェイ、音楽マイケル・ナイマン)のことが書いてあり、懐かしく思い出しました。

19年前に公開されたこの映画を私は、19年前、失恋直後に渋谷でひとり、観ました。
当時は、ピーターグリーナウェイという映画監督に「こわいものみたさ」に似た興味を抱き、そして音楽家のマイケル・ナイマンに夢中だったのでした。

映像は美しく音楽も最高だったけれど、あらゆる意味において過剰な物語世界に、幻惑されながらも、かなり、げんなりしたものでした。
今でも、この映画は「私の好きな映画ベスト10」に入ることはありません。
「好きではないけど、強烈なイメージを(無理やり)残した映画」に分類されます。「時計仕掛けのオレンジ」や「ブリキの太鼓」などと共に。

さて、当時「コックと泥棒……」について、完全に見落としていることがありました。

それは衣装です。

あの豪華で、物語の展開とともに変化する色彩のなかで、見事にその美を主張していた衣装、それは、ジャンポール・ゴルチエの手によるものだったのです。

ゴルチエは他にも映画の衣装を担当しています。


(KIKA)

「KIKA」、「フィフス・エレメント」。どちらも、私、好きな映画です。もちろん、好き、を形作る要素には多分にゴルチエが入っています。


(フィフス・エレメント)

さて、そのゴルチエの奇抜なデザインについては、あれは見せるための衣装であり、着るための衣装ではない、と批判する人も多いそうです。

たしかに、日常着に最適、とは言いかねるでしょう。

けれど、映画でのそれは、ほとんど芸術作品だと思うし、マドンナのステージ衣装の視覚的的効果を見れば、服は着るためのものか見せるためのものか、なんてどうでもいいことのように思います。

さて、そのゴルチエの少年時代のエピソード。

少年はお絵かきと縫いぐるみの大好きな男の子だったので、両親は心配し、それをたしなめました。
少年は祖母の家に非難しました。そしてそこでナナ(クマのぬいぐるみ)と遊びました。お化粧をしたり、面白い服のアイデアが浮かぶとナナに着せたりしていたのでした。16歳までは一緒に寝ていたそうです。空き缶でアクセサリーを作る発想も、中学生のころナナと遊んでいて思いついたのです。
ナナはジャンポール・ゴルチエの最初のモデルでした。

子どもの、他の子と違った部分を、両親好みに是正することの危険さを物語っているように感じるのは私だけではないでしょう。

もし、両親が厳しく少年の趣味を禁じ、それを悪事のように決めつけていたなら、ジャンポール・ゴルチエのブランドはもちろん、伝統あるエルメスだって、いまどうなっていたのかわかりません!(ゴルチエは2004年、エルメスのデザイナーとして抜擢されているのです)

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参:「世界のスターデザイナー」「ヴィジョナリーズ」

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