MODEな軽井沢 特別な物語

◆ソニア・リキエルを着たくなるとき◆2008.12.15

2020/04/22

フランスを代表するデザイナー、ソニア・リキエルのデビュー40周年を記念して、はじめての回顧展が、パリの装飾芸術美術館で開かれています。

1960年代に、それまでは普段着としてしか認識されていなかったニットを、ファッショナブルに昇華させて、「ニットの女王」と呼ばれ、現在も、作家として音楽家として室内装飾家として幅広く活躍しています。

「私が創る服は流行にとらわれないデ・モード、脱流行の服なのよ」

自らそう言いきるソニア・リキエルの服は、ある種のクラシックとしての評価を得ています。

ソニア・リキエルのルックスは、かなり個性的です。削いだような頬、どこまでも広がる赤毛、黒いロングの衣装。

そんなソニアは「ナチュラル・ルック」を嫌います。

「つまり、自分自身をベストの状態にしなさいということ」

「ナチュラルでいられるひとなんていないの。ありのままでも素晴らしい、少数のひとたちを除いてね。けれど私は、パーソナリティをルックスに反映させている女性が好き」

もう、この言葉だけで、ソニア・リキエルのファンになります。

大好きです。
大賛成です。
(私は「とくになにもしていないの」的な発言をするひとと、ルックスにパーソナリティを反映させようとしないひとが嫌いです)。

もう少し、ソニアの言葉に耳を傾けてみましょう。

「自分の存在を主張するためには、女性は自分の色を持つべきです。私の場合、それが黒。……、私の個性を一番引き立ててくれる色と信じています」

黒は比較的誰にでも似合うと思われますか? という質問に対して、

「いいえ、そうはいきません、強い意志を持った個性が際立つ女性でなければ、上手に着こなせません。黒に負けない強い人でないと」

「強い人」。

ソニアはロシア系ユダヤ人家庭の5人姉妹の長女として生まれました。

4人の妹たちと比べて自分がきれいでなかったことが、強くて知的な自分を作った、と考えています。

「生まれた時、髪が真っ赤でとても醜かったの。母は私にこう言ったわ。
『やりたいと思うことはなんでもできるわ。でもそのためには、おりこうさんにならなくちゃだめよ』

私はかわいくはなかったから、素晴らしい人間になる必要があったの。
それからはそれを私の強みにしたわ。
私はとても強くて、周りのことなんて気にしなかった。
自分でこう考えていたの。
『私は強い赤毛の女の子。だから、私にかまわないで』ってね」

母の、おそらく、愛にあふれた言葉。真実の。

私は、この言葉を娘に言った時の、母親の気持と、それを言われた時の、娘の覚悟に、胸が熱くなります。

最後に、これまた、私自身がとっても共鳴する、甘い言葉を。

ソニア・リキエルが50代前半の頃のインタビューから。

「私がいちばん幸せを感じる時? そうねえ、愛する男がベッドを抜け出して、朝のコーヒーをいれてくれて、その香りで徐々に目が覚めていく時間かしら」

*ソニア・リキエル回顧展の情報はこちらからどうぞ
(参)「ヴィジョナリーズ」「世界のスターデザイナー43」

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