●美術エッセイ『彼女だけの名画』12:ウィーンのファム・ファタール
2020/08/26
美しさで男を「誘惑」する女。
男の運命を「狂」わせる女。
「危険」な女。
私が憧憬をいだく女の、ひとつのイメージ。
その美しさで男たちを虜にし、男の運命を狂わせる、危険だけれど魅力的な女、「ファム・ファタール(宿命の女)」。
「ファム・ファタール」をテーマにしたサロンや講演会に集まる女性たち(このテーマのとき、男性はひじょうに少ない)の顔はみな似た輝きをもち、会場は一種独特の高揚感に包まれる。これはファム・ファタールという存在、それ自体に、私を含めて参加者の女性たちが強い刺激を受けているからだろう。
もし「そういう女はどうも苦手」とか「あんまり興味ないなあ」という男性がいたら、彼らに言ってあげたい。