◆彼女だけの名画 ブログ「言葉美術館」 路子倶楽部

●美術エッセイ『彼女だけの名画』13:フィレンツェ、美しき受胎告知

 

「路子さん、僕いつも疑問に思っていることがあるんだけど、キリスト教文化が生み出した芸術、たとえば宗教画ね、それはキリスト者でないものにとっても芸術なんだろうか」

 私に問いを投げかけたのは40代後半の男性。彼は野心みなぎる実業家で、頭も体も全身仕事モードで人生突っ走っているかんじなのに、ときたま、こんなことを言う。

 私は彼が好きだ。魅力的だと思う。恋愛についても熱く語り、彼にしか通用しない理屈みたいなものをもっていて、納得できないこともあるけれど、ときおり、ぐさりと突き刺さることを言ってくる。

 「路子さん、やっぱりね、自分の人生を生きなくては。自分のステージをもたなくてはね!」

 けっして目新しい言葉ではないのに、ぐさりときたのは、「恋人とふたりで人生を歩みたい」と熱望し「自分」という単位を見失いつつあった時期に聞いたからだろうか。

 魅力的なひとは、そういうタイミングも見逃さない。

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