★西洋絵画のスーパーモデル ブログ「言葉美術館」 路子倶楽部
★西洋絵画のスーパーモデル:9(最終回)「マグダラのマリア」
*最終回です。またひとつの連載をここに残すことができました。
「路子倶楽部」会員のみなさまのおかげです。ありがとうございます。
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■純粋にキリストを敬愛したマリア。聖人か罪人かは、あなたの心が決めること■
なんともエロティックな絵だと思う。
全裸を少しでも隠そうと長い金髪をかき合わせる。それでも露わになる豊かな乳房。彼女は天に向かい、何を祈るのか……。
気ままに楽しくやらせていただいた連載の最終回は「マグダラのマリア」。
マグダラの……。
ああ、と私はため息をつく。たいしたことではない。ただ「マグダラのマリア」は私にとってちょっとひっかかる存在なのである。
あれはもう一年以上前のことだ。
「彼」がウイスキーのグラスをカラカラと鳴らしながら「あなたはマグダラのマリアだ」と唐突に言ったのは。
「彼」はすこし酔っていて私もそうだった。仕事で「聖人」について調べているときで、「彼」はそのパートナーだった。
悔しいことに私は「彼」が打ちこんできたボールをうまく返すことができなかった。
なぜなら、自分を見透かされたような想いと、まるで見当違いのことを言われたという想いが複雑に交錯していたからだ。