ブログ「言葉美術館」

■仕事まみれの夜に、涙を想う

2024/01/27

 

 「涙は神聖なもの。弱さではなく強さの印だ。抗しがたい悲しみと言葉にできない愛を伝える。」

 アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングの言葉。

 ふと、うかんだから書きとめておきたかった。

 このところ、仕事仕事仕事で涙から離れているからかもしれない。

 2月初旬刊行予定の「サガンの言葉」は私の手を離れた。

 3月中旬刊行予定の「シャネル哲学 ココ・シャネルという生き方 再生版」が山場。

 昨夜は夜遅く4時くらいまで原稿に手を入れて、私にしては超早い時間からの打ち合わせのため8時に起きた。4時間デザイナーさんと一緒に原稿の直しをして、帰宅したら廃人になってしまった。

 編集者さんから、次は誰の言葉にしましょうね、とメールが届く。

 どうしても書いておきたいひとはひとりしかいない。もちろんアナイス・ニンだ。

 この、日本では知られていないけれど、とっても魅力的なひとの本を出すためにはどんな切り口だったら可能なのだろう。

 娘にそんな相談をすると、たしなめられる。

 今夜は休んでください、早く寝てください、このパターン体調崩すんだから、デザイナーさんから新しいデータが届いているけどママに送るとチェックし始めちゃうから送らないでいるんだから。

 はーい、と入浴して、ようやくすこし復活。

 そしたら今度は、アナイスではなくて、もうちょっとで完成する新しい本の原稿について考えはじめて、頭が冴えてきてしまう。

 そんなとき、ふと、冒頭の涙の言葉がうかんだ。

 涙。強さ。悲しみ。愛。

 恋しい世界。

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