◎Tango ブログ「言葉美術館」

■ガリアーノとコロナとタンゴ

2021/03/12

 

 メゾン・マルジェラの2021春夏コレクション、デザイナーのジョン・ガリアーノは「タンゴ」からインスピレーションを得た。

 1960年生まれ。1985年に自身の名のブランドを設立、以後、ジバンシィ、ディオールのデザイナーを経て、2014年10月にメゾン・マルジェラのクリエイティブ・ディレクターに就任。

 2021年の春夏コレクションはフィルム形式で配信。このコレクションのインスピレーションの源がタンゴ。

 ふたりでステップを踏むパ・ド・ドゥ(pas de deux)に見られる心身を互いに預け合う信頼関係。

 踊りが生み出す「カタルシス」。

 このふたつに着目したのだと言う。

 そして「人と人とが繋がり、舞い踊り躍動することで精神を解放し、さらに前進してゆくエネルギー」がデザインに落としこまれている。(「ファッション・プレス」)

 

 ガリアーノは言う。

「かつて旅したブエノスアイレスで見た、本物のタンゴが持つ感情的な側面こそ、今日、私たちが渇望する人とのつながりを身体的に表現していると思いついたんだ。

 タンゴの身体的な接触は、周囲の雑音をすべてシャットアウトしてしまうほどに没頭する相互依存が存在する。

 ブエノスアイレスで見たタンゴを取り巻く家族的なコミュニティや世代を超えて共に集う感覚も、ストーリーのインスピレーションになっている。」

 また、ガリアーノはタンゴに「汗」を見た。だからコレクションには濡れたように見えるウエット・ルックがキーワードになっている。

 コロナ禍による生活の変化も大きな影響があった。

 そして「人とのつながり」の大切さを強調したいと思ったとき、ブエノスアイレスで見たタンゴを想ったというのだ。

 ガリアーノがタンゴをテーマにしたということ。

 私にいろんなことを考えさせた。

 コロナ禍において、とってもリスキーでデンジャラスなタンゴ。このところはマスク着用必須という条件でミロンガも開催されているようだけれど、そしてそれに慣れなければミロンガを楽しむことはできないのだろう。でも……

 以下、書いたけど消した。なぜなら、ここは勝負するところではないな、と思い直したから。

 ガリアーノの言葉を、一部、とりだしてみる。

「タンゴが持つ感情的な側面こそ、今日、私たちが渇望する人とのつながりを身体的に表現している。」

 そんなタンゴを踊れているか、ということ。

 また、創作者としてのガリアーノの言葉。

「我慢強くなること、自分に優しくなること、そして逆境を利用して前に進み、新しいものを創り出すことこそがデザイナーの仕事」

 ああ。

 ガリアーノから問いを投げかけられたように思う。

 コロナ禍において人々が何を求めているか探求しているか。
 その上で何を生み出すことができるか、考え続けているか。
 なによりおまえが信じる美への情熱を失わずにいるのか。

 そして、おまえのタンゴを愛し続けているか、と。

 

*いくつかのサイトの記事を参照しましたが、最初に読んだのは「エル・オンライン」。タンゴシーンのあるフル動画もあります。

 

 

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