◆戦っていれば負けません
2016/06/21
「コンクールに出ても、いつも優勝できないんです。いつも二番なんです。もう嫌になります。負けるのが嫌なんです。傷つきますしね……。
でも、たった一つだけ、負けない方法があります。それはコンクールに出ないことです。出なければ絶対に負けません、傷つくこともありません。それでも僕はコンクールに出ようと思います」
偶然、目にした大道芸を職業としている方がこんなことをおっしゃっていた。よく聞く内容の言葉だけれど、私は胸が熱くなった。
そうなんだよね。
勝負に出なければ負けることもないから傷つくこともない。けれど、勝つことや、挑戦したという充実感を得ることもない。
仕事でもそうだし、恋愛だってそうだ。人間関係全部も、そう。
でも人間はそんなに弱くもないけど、そんなに強くもないから、いつでも臨戦態勢でいるのは無理だと思う。私はぜったいに無理。
だから、だめなときはエナジーをたくわえて、ここだ、というとき勝負に出る。
それで望んだ結果が得られなくても、その一連の心の動き、行動に意味があると思いたい。
傷つくのを恐れて、何もしないでじっとしているのは嫌。
そんなことを強く思った。
……最初は豪華だった花束も時が経つにつれて、一つ一つ萎れていって、全体的に醜くなる。それでも、綺麗に咲いているものだけを飾れば、また別の美しさで、その場が華やぐ。
人生みたい。
自分の周囲にくっついている、時が経つにつれて萎れていったものを引きはがしてみれば、もしかしたらまた別の美しさで華やぐことができるかもしれない。