◆アナイスの「未来の小説」、愛の喪失
2017/02/08
「わたしは愛の喪失には率直さが関係している、と考えた。
わたしが知っていたかぎりの正直で、喧嘩好きで、独断的で、飾らない女性たちはみな愛を失っていた。
わたしはその危険を冒そうとは思わなかった」(アナイス・ニン「未来の小説」)
昨夜は頭のなかを沸騰したように言葉がぐつぐつとわいてきて、頬の裏側をとおって口から溢れそうだったから口をおさえたら自家中毒寸前。
どうにかしなくちゃと思って、ある人に自分のいまの状態を書き始め、たくさん書いて、でも受け取るその人の心情を想像して、すべて削除する。
私は、このブログも、それからフェイスブックも、アイフォンからは投稿しないと決めている。
夜、そう、あの大嫌いな夜、眠る前の状態、言葉がたくさん出てくるあのときなんかに、思いつくままに書いたことをそのまま公表するなんて、危険すぎてできない。
ただでさえ、精神の排泄物(by澁澤龍彦)をまきちらすことを職業としているのに、不用意に不必要な危険言語をまきちらしてはいけない。そう考えている。
ブログもフェイスブックも私にとっては表現の場だから。責任がある。
だからノートに書いたそのままを書くことはしない。
眠れなかったからアナイスの本を開いた。
そうしたら冒頭の言葉が飛びこんできた。
そうだ。アナイスも、「日記」に自分自身を率直に吐露することで、現実世界で率直になることを防いだのだ。
率直すぎると愛を喪う。
私もそう思う。
美学に反するけれど、そう思う。
そして。
喪ってもいいから、言いたいときも、またある。