◆アナイスとマリリンの共通点
2017/02/08
昨日書いた記事の続きのような内容になるのだが、『リノット』の杉崎和子先生による「訳者あとがき」部分にも、私はオレンジ色の色鉛筆でラインをひいた。杉崎先生が出会ったときのアナイスは六十を過ぎていて、ようやく作家としての成功を手にし、ぴかぴかに輝いていた、そういう時期だった。
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彼女は、まさに輝いていた。どんな場所でも、彼女がそこにいれば、周りに人の輪ができた。人の輪の中から、私は彼女に話しかける。すると、私に向き合ったアナイスは、彼女の全存在をかけて私のためにそこにいる、と私にかんじさせてくれる集中力のオーラを、優しさに溢れた集中力のオーラを放つのだ。おそらく、アナイスと向き合うとき、きっと、誰もが、そんなオーラに包まれるのではないだろうか。
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アナイスの、稀有な魅力を伝えている。これまた、杉崎先生の感性と表現力にひれふしたくなるのだが、私はこの部分を読んで、感動して、それから、マリリンと似ているかも、と思った。
マリリンが韓国の米軍兵士たちを慰問したときのこと。マリリンは二万人近い兵士たちの前で歌い、彼らを熱狂させ、マリリン自身も、とてつもない充実感を得ていた。そのときのことを、その場にいたカメラマンが次のように言っている。
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マリリンは俺たちと一緒にいられることがとても嬉しいって言ってね。ゆっくり、ひとりひとりに声をかけて、家族のことや、故郷のことや、民間の仕事のことを話していた。ものすごく寒かったのに、いつまでも帰ろうとしなかった。
マリリンはすごい女優だよ。何千もの兵士たちに、この女性は俺たちのことを、ほんとうに気にかけてくれている、と感じさせたんだから。
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アナイスもマリリンも、やはり特別な人なんだな。なにかが、全身から溢れてる。
もう、これ、一言で言っちゃう。きっと、これは「優しさ」。
そしてその優しさは、知性にしっかりと、支えられている。