◆私のアナイス ブログ「言葉美術館」

◆「私が今年したこと」と石川啄木

2017/02/08

20161230 
 

 とにかく体も頭もふにゃふにゃで、ぜんぜんだめ。今年が終わろうとしているけど、まったく、信じがたいほどにあっという間に過ぎた一年で、いったい何をしたのかすらわからない。

 今年もまた、あそこがだるい、具合が悪い、性格が悪い……と、ぐーたらしているうちに過ぎてしまった、……のではないか。

 と、思い切りマイナスモードで過ごした一日の終わり、お友達とおしゃべりをした。

 お友達はとっても優しいから、ひとつひとつ「私が今年したこと」を羅列してくれた。それを聞き終えた私。「えっ。すっごい頑張ったんじゃない? いろいろしたんじゃない? だったら忙しいはずよー。疲れたよ休みたいよ、ってなるはずよー」とがぜん、元気になったのだった。かんたん。

 というわけで、忘れないうちにここに書いてみようと思う。

1月の路子サロンは「睡眠サロン」で、

2月には大竹しのぶ主演の「ピアフ」のパンフへ原稿を寄稿、路子サロンは「アナイスと山本先生」と「映画サロン」

3月には「私は私~超訳ココ・シャネル」を出版、「アナイス・ニン研究会」でのプチ講演、縁があってゼルダ・フィッツジェラルドについて研究をし、路子サロンは「伊勢神宮」と「アナイスと矢川澄子」

4月には伊勢神宮へ行き、帰宅した日に「語りと歌のコンサート~マリア・カラス」、ピアフのことで加藤登紀子さんの会に呼んでいただき、路子サロンは「マリア・カラス」

5月には50歳の誕生日をむかえ、路子サロンは「カラバッジョ」

6月には誕生日記念の撮影を行い、アナイス関連で中田耕治先生へインタビューを行い、路子サロンは「ゴダールのミューズ」

7月にはアナイス関連で杉崎和子先生へインタビューを行い、「語りと歌のコンサート~七夕 妖しくきらめく7つの神話」、「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」映画のパンフに「ゴダールのミューズたち」を寄稿、キネマ旬報にも寄稿、公式サイト「山口路子ワールド」がオープン、路子サロンは「関白秀次の切腹」

8月には「オードリー・ヘップバーンの言葉」を出版、芳野まいさん&秦早穂子さんとのトークイベント、これにエナジーをそそぎ、路子サロンは「芳野まいのプルースト」

9月には「アエラ」に旅と本について写真入りで掲載され、路子サロンは「マリリン」

10月の路子サロンは「星野和彦の巴里、ショービジネス」

11月の路子サロンは「水上彩さんのワイン物語」

12月は「1920年代のパリ」の写真展と「朗読劇の試み、ミューズ」、そして「語りと歌のコンサート~映画音楽と物語」

 細かいものは入れていないけれど、こうして眺めてみると、やはり夏に集中していたかなと思う。

 夏のあのゴダール関連の、一連の執筆、イベント。じつに貴重な機会をいただいた。秦早穂子さんと同じ壇上でトークイベントだなんて、各方面からよほどの力(圧力か)が加わらないと、いまでも、ふるえるくらいの、私には重すぎる仕事だったと思う。

 それでも、チャレンジしてよかった。あの秦早穂子にどっぷりとつかっていた数か月は、ちょっと熱病みたいで気持ちがよかった。

 そして「課外活動」としてのライヴ、朗読。マリアカラス、神話、映画音楽と3つオリジナルの原稿を作った。それぞれに数か月をかけている。たった1時間くらいのイベントだとしても。

 メインはやはり12月17日のミューズの朗読劇。これは残ると思う。

 本は2冊だけ。2冊とも売れてくれて嬉しいけれど、もう少し書けたのではないかとも思う。いや、無理かな。いろんなことが、生活のなかに、やるべきこととしてあるし、そういうことも疎かにしたくないし。

 そんなこと、こんなこと。つらつらと思いながら、もう一回一年の仕事を眺め、頭に浮かぶのは石川啄木。

***
はたらけど
はたらけど猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る
***

 ……とほほ。

 「ぢっ」と手を見て、ずいぶん瑞々しくないなあ、と思う、30日の夜。

 写真はアエラの取材のときの候補写真その1。工藤隆太郎さん撮影。ちょっと正しそうなかんじで騙しているようで罪悪感に苛まれそうで、だから違うのにしたのでした。

-◆私のアナイス, ブログ「言葉美術館」